大気汚染がアートに?バンガロール発、排気ガスから生まれたインク

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550万人。この数字が何を意味しているか分かるだろうか?これは、2013年に大気汚染を原因とする疾病により世界で死亡した人々の数だ。そして、ワシントン大学らの研究によると、このうち半数以上の死が特に大気汚染が深刻なインドと中国で占められているという。

この大気汚染問題を解決するべく、ユニークな切り口からイノベーションに取り組むスタートアップ企業がインドにある。インドのシリコンバレーとも呼ばれるIT都市、バンガロールに拠点を置くGraviky Labsが開発したのは、世界初となる自動車の排気ガスから作るインク、「Air-Ink」だ。

この革新的なプロダクトは、MITメディアラボのプロジェクト、Fluid Interfaces Groupと、Gravikyの開発したKaalinkという技術によって生まれたもの。Kaalinkは、自動車の排気口に装着することで排気ガスを95%取り除くことができる円筒型の装置だ。

Gravikyは、このKaalinkを使って自動車の排気ガスを収集し、その中に含まれる炭素をその他の重金属や発がん性物質から分離して取り出し、油分と結合させることで、ペンやスプレーに使用できる新たなインクを生み出すことに成功した。

同社によれば、自動車が30~50分走行することで排出される排気ガスにより、30ml分のAir-Inkペンを作ることができるという。また、この技術は自動車だけではなくボートや煙突などにも活用可能とのことだ。

Gravikyはシンガポールを代表するビールブランド、Tigerをスポンサーとして獲得し、インド同様に大気汚染が深刻な香港で、このAir-Inkを使用して手がけたアート作品を公開している。

Kaalinkを使って大気汚染を大幅に削減するだけではなく、さらにその排気ガスを利用して新たなプロダクトを作るというGravikyの試みは、まさにテクノロジーとクリエイティビティが融合したイノベーションの好事例だ。

これまで地球というキャンバスを汚し続けてきた排気ガスが、インクという新たな命を与えられたことで次はどのようなキャンバスを彩るのか。Air-Inkから生まれる新たなアートは、世界を大きく変える可能性を秘めている。

【参照サイト】Air Ink
【企業サイト】Graviky Labs