ブロックチェーンでサプライチェーンを透明化。ウォルマートの挑戦

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今、世界中の消費者の間で高まっている懸念。それが「食の安全性」だ。経済のグローバル化に伴い食品のサプライチェーンもグローバルに複雑化・細分化された結果、食の生産者と消費者の距離はどんどんと遠くなり、お互いの顔が見えなくなっている。

そのため、今では多くのグローバル企業にとって、原材料の調達から加工・製造、卸売、小売という一連のプロセスにおいていかに透明性を確保できるかが消費者から信頼を獲得するための鍵となっているのだ。

その中でも特に「安全性」に対する消費者の懸念が強いのが、今や世界最大の食肉市場を誇る中国だ。中国は全世界の豚肉の生産量の50%以上を占めているが、中国国内では食肉の密輸や衛生管理の不備など様々な問題が起こっており、消費者も非常に敏感になっている。

その中国で、小売世界最大手のウォルマートが新たにブロックチェーンを活用した豚肉のサプライチェーンの透明化に乗り出した。ウォルマートは中国の清華大学、IBMと共同で、豚肉の生産から小売までの流通経路をブロックチェーンに記録し、食品の動きをリアルタイムに追跡できるシステムを構築する。システムはIBMが提供し、ブロックチェーンの基盤にはリナックス財団のHyperledgerが活用される予定だ。

ブロックチェーンの台帳に記録されたトランザクションは、一度書き込まれると消すことができない不可逆的な仕組みとなっている。そのため、その経路を辿っていけば最終的には生産地から消費者までの一連のサプライチェーンを全てデジタルで管理することができるようになる。台帳には原材料や識別番号、加工工場のデータ、消費期限、保存温度、発送に関する情報などその食品に関わるあらゆる情報が記録される予定だ。

このブロックチェーンを活用したサプライチェーンの追跡システムが実現すると、ウォルマートは消費者に食の「安全性」と「信頼性」を提供できるようになるだけではなく、店頭の在庫管理にも活かせるようになり、さらなる事業効率の向上も期待される。

ブロックチェーンという新しい分散型台帳技術は、金融だけではなくあらゆる分野への活用が可能な革新的テクノロジーだが、今回の好事例の一つとなりそうだ。ぜひ今回のプロジェクトが成功し、あらゆる商品のサプライチェーン透明化にブロックチェーンが活用されることを期待したい。

【参照サイト】Walmart, IBM and Tsinghua University Explore the Use of Blockchain to Help Bring Safer Food to Dinner Tables Across Chinarledger

(※写真提供:Niloo / Shutterstock.com