砂漠の中でトマトを育てる。農業とテクノロジーの新たな融合

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農作物を育てるには豊かな土壌や気候、日照時間など様々な条件が必要となる。しかし、昨今では地球温暖化による砂漠化や干ばつなどの影響もあり、農業に適した環境が整っている地域はどんどん少なくなってきているのが現状だ。しかし、仮に農業に適した環境でなくても、テクノロジーの活用によって大規模かつ継続的に農作物を育てることが可能であると証明してくれた農場がある。

それが、南オーストラリアにある「Sundrop農場」だ。10月6日に販売開始された、Sundrop農場のトマトは、南オーストラリアにある20ヘクタールにもおよぶ砂漠の中で栽培されたものである。砂漠といえば、灼熱の日差しのもとで水もなく、もちろん農作物を育てるには悪条件としか言いようがない土地だが、ここに最新のテクノロジーを駆使して農場が誕生したのだ。

このプロジェクトは持続可能な農業を目標としており、まずはこの広大な砂漠の土地に23,000個もの鏡を設置した。これらの鏡は中央に位置する給水塔を太陽の光で照らすように角度が付けられており、そこに集まる太陽エネルギーは、工業的規模でトマトを耕作するのに十分なエネルギーを生成する。

また、砂漠の中にあるこの農場の唯一の灌漑源として海水を利用しており、5キロ離れたスペンサー湾からパイプを使用して、海水を汲み取っている。

給水塔へ集められた熱エネルギーによって生み出された電気が、海水を熱して新鮮な水へと変換。脱塩された水と食物のための栄養素が供給され、トマトが耕作されるのだ。

Sundrop農場は、2年間にわたる試行期間を経て、今後は年間15,000トンのトマトをオーストラリア全土に出荷するため小売店のコールズと10年契約を結んだ。ただ、この農場はまだ完全に独立したエネルギーを生み出せているわけではない。特に冬季の太陽光が弱いときなどは最大15%を電源供給に依存しているという。とはいえ、鏡を使用した太陽光発電のアイデアは、将来的に他の消費セクターへの利用を可能にするに十分な方法として注目されている。

このような方法が定着し世界に広まれば、今後資源がない地域でも食物を生み出すことが可能となる。つまりは世界で起こっている難題の一つである食料不足の問題解決や、新鮮で安全な食物に年中アクセスできる環境の創出に繋がる。

最近は最先端のテクノロジーを活用して農業分野にイノベーションを起こす”AgTech”(アグテック)という分野も注目されているが、この画期的な「農業」と「テクノロジー」による掛け算は、明るい未来予想図を描いてくれるにちがいない。

【参照サイト】Sundropfarms