大気汚染をクラウドソーシングで解決するアプリ。インド政府が考案

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12億人を超える人々が住むインド。多民族・多言語・多宗教のこの国では、急速な工業化に伴い大気汚染問題が深刻化しており、汚染により23秒ごとに人々が死亡しているという報告がある。この問題解決に向けた政府と市民による協働の試みの一つとして、新たにクラウドソージングアプリ「Hawa Badlo」がリリースされた。

このアプリは、国が発令した「大気汚染を減らし、ニューデリー地域の大気質の改善を行う」という指示のもと開発されたものだ。政府の環境汚染防止管理局が開発に携わった。

市民はこのアプリを使用して、現在地から直接大気汚染に関する苦情を報告することができ、苦情は担当の政府職員にダイレクトに届く仕組みとなっている。各報告には地理タグが付いており、そのタグにより汚染場所と苦情を受けた時間の確認できる。担当職員は市民からの苦情に早急に対処し、報告を終結させるための証拠を提供する規則になっているという。

さらに、毎週それぞれの問題解決のために行った措置とともに苦情の数と状況に関する報告リストが作成、分析され、政府へと提出される。現在は「工事により起こる汚染」「未舗装道路」「ゴミ焼却などの汚染」に焦点を当てているが、今後はその他の汚染原因もカバーできるよう用途を拡大する予定だ。

アプリ「Hawa Badlo」が作られた背景には、汚染の削減に向けた市民の関与や関心度、職員の責任意識の向上という目的がある。アプリは無料で提供されており、iOSやAndroidのアプリストアで公開中だ。市民用と政府職員用の2種類が用意されている。

通常であれば、たくさんの数の職員を各地域に配置または出向させ、どの場所や箇所に問題があるのかを調査しなければならないが、その作業を市民にクラウドソーシングすることで、行政コストの削減を図りつつ地域社会の課題解決に繋げている。

また、市民にとっても個人の声が直接かつ確実に政府担当者へと届き、解決処置が取られ、その一部始終を知ることができるという仕組みは、よりリアルに地域社会への貢献が実感できる機会となる。この経験は市民にとって手応えの感じられるものとなり、さらには当事者意識を持ってもらえることにも繋がる。

インド政府がはじめたこの取り組みは、国が抱える大きな課題の解決に対する市民の当事者意識の向上と政府への信頼度向上、そして行政コストの削減という3つのメリットを同時にもたらす優れた事例だと言える。今後の成果に期待したいところだ。

【アプリ】Hawa Badlo
【参照サイト】Environment Pollution (Prevention & Control) Authority for the National Capital Region
【参照サイト】Air Pollution Accountability App launched by EPCA