AR技術の新たな活用法。イギリス・ロイズ銀行が手話アプリで聴覚障がい者の顧客をサポート

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イギリスの大手銀行であるロイズ銀行が、AR(Argumented Reality:拡張現実)技術を駆使して開発された手話アプリを試験導入すると発表した。「Signly」という名の手話翻訳ツールであるが、金融機関がこのアプリの試用に着手するのは業界初の試みとなる。

手話アプリ「Signly」は、慈善団体Intermedia Solutions and Deafaxの創設者、Mark Applin氏が考案・開発した、BSL(イギリス手話)に特化した翻訳モバイルアプリだ。

BSLは独自の文構造を持つユニークな言語で、話し言葉の英語や一般的な英語手話(SSE)とは異なる部分が多くある。BSLを第一言語として使用する人々にとって、文章を読んだりコミュニケーションを取ったりすることが日常的に困難な場面が沢山あるのだという。

BSL利用者は英国で25万人以上いるといわれており、そのうち少なくとも5万人はロイズ銀行の利用者であることから、同銀行グループのイノベーションラボチームは、アプリSignlyが銀行における手続きや取引の中で、どのように機能するかをBSL利用者と協働し試行錯誤を重ねた結果、Signlyとの提携を決断した。

Signlyアプリを利用しQRコードをスキャンすると、合意文書に関しての文献をARによってBSLへと翻訳された手話を観覧できるのだが、今回の提携にあたり、耳が遠い人や難聴者である顧客が、書面やオンラインで提供された財務に関した資料も、同様に翻訳可能にするという機能も追加された。

さらには、これらのSignly機能の試行に加え、ロイズ銀行は、Text Relayや聴覚障がい者である顧客を対象にオンライン通訳のサービスを提供するSignVideo、また、大きな印刷物や点字、録音された文献にアクセスすることができる視覚障がい者のためのサービスなど、取引をする顧客のためにさまざまな方法を考案している。

ロイズ銀行の消費者デジタルディレクターのニック・ウィリアム氏は、「私たちは常に顧客をサポートする新しい方法を模索しており、この新技術の試行は素晴らしい例であると言える。Signlyは銀行との取引をより簡単にするための新しいツールであり、サービスの改善がシンプルで直観的であることは、すべてのお客様にとってファイナンシャル・イクスクルージョンへの障壁を取り除くための鍵である」と語っている。

マイノリティな立場にある人々を見逃さず、すべての顧客に同等のサービスを提供する。このことを実現するのは非常に難しいことだ。しかし、それを行うために最新テクノロジーを利用し、顧客を支援するという今回のロイズ銀行による新たな試みは、進化し続けるテクノロジーを社会のためにうまく活用した好事例の一つといえる。

【参照記事】Lloyds Bank trials British Sign Language translation technology
【参考サイト】Signly