小売店と消費者のおいしい関係。フィンランド発のフードレスキューアプリ「Froodly」

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フードレスキューアプリ。これは新たなムーブメントと言えるかもしれない。以前にも、食糧廃棄の軽減を目指し開発された、レストランの売れ残りメニューを格安で買えるアプリ「FoodForAll」を紹介したが、男女平等、恵まれた福祉制度や教育など、さまざまな社会的課題の解決に取り組む国の一つとして知られるフィンランドが、このたびアプリ「Froodly」をリリースした。

Froodlyは、食品を少しでも安く購入したい消費者と、小売店に置いてある消費期限が近い食品を結びつけるアプリだ。フィンランドで毎年廃棄されていると言われる、およそ6,700〜7,500万kgにもおよぶ廃棄食品の軽減を目的として開発された。

Froodlyのコントリビューターとなるユーザーは、自分のお気に入りのスーパーマーケットで消費期限が近づいている食料品の写真を撮影し、値引き額とともに写真をアプリにアップする。割引は通常の価格から30〜70%の範囲となっている。コントリビューターは写真を1枚アップするごとに10 クレジットを得られ、食料品のディスカウントや無料のコーヒーなどの報酬を得ることができる。

また、割引商品を探している消費者は近くの店舗の商品が割引された際に、その通知をリアルタイムで受け取ることができる仕組みとなっている。これにより、企業がより多くの食品を販売することができ、無駄な廃棄物や汚染を防ぐことが可能となる。

小売店は食料廃棄の無駄を防ぎつつ売上を伸ばすことができ、消費者は通常よりも安い価格でそれを手に入れることができる。そして、結果的にこれらの相互作用が地球を救うことにも繋がる。消費者、企業、地球の三者にメリットのある良いことずくめの仕組みとなっている。

世界の食糧廃棄をめぐる課題は深刻だ。「地球上で生産される食糧の3分の1以上が廃棄食品の対象となり、それにも関わらず、世界で8億人もの人々は餓えに苦しんでいる」という事実があり、これは矛盾以外のなにものでもない。この状態を脱するには、一人や一つの国だけではなく世界が共に協働する必要がある。

先進国に住む私たちが生命の危機を感じるまでに食糧不足に苦しんだ経験はほぼないであろう。そればかりか、つい買いすぎてしまった、或いは、賞味期限が数日過ぎてしまったというような理由で、食品を捨ててしまうこともあるのではないだろうか。

食べ物を廃棄した際に、私たちはもったいないなと感じる。それはその食品そのものであったり、消費したお金であったりするのかもしれないが、想像力をもう少しだけ働かしてみると、その一つの食品ができるプロセスにはたくさんの人々の労力と資源が関わっていることに気づくはずだ。

例えば、限りある資源の一つである「水」もそうである。一個のハンバーガーを製造するのに2,500リットル、一個の卵を生産するためには135リットル、1つのトマトを栽培するには12リットルの水が必要だと言われている。そして食べ物を無駄にすると、これらの水も無駄になるということなのだ。

当然だが、一つの食品を捨てる際にそこまで想像する人はなかなかいないだろう。しかし、Froodlyチームはこれらの事実を重視し、人々に知ってもらうためにこのアプリをリリースし、さらなる情報の発信を続けている。

FroodlyのHPにあるブログの一文では「今そこにあるあなたの食べ物を愛そう」と語られている。食糧廃棄禁止!などと躍起になったり悲観的になったりしなくても、小さなことから行動を起こし、そこにある食べ物に感謝し愛でながら日々を過ごす。そんな丁寧な生き方の一つとして、フードレスキューアプリを日常の中に取り入れていけば、少しずつではあるが、確実にこの問題の解決へと向かっていけるのではないだろうか。

【参照サイト】Froodly

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