音が愛した数式。アルゴリズムを用いて設計されたコンサートホール

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ドイツ・ハンブルグに新しくできたElbphilharmonieというコンサートホールが素晴らしい。建築家ユニットHerzog and De Meuronによって設計されたこのホールは、デザインと音とアルゴリズムが融合した場所だ。

このホールの一番の特徴は、壁一面を取り囲む、石膏で作られた10,000枚ものパネルだ。このパネルに音が当たると、デコボコした表面がその音を吸収し、拡散する。それぞれのパネルが異なる形で音を吸収、拡散することで、コンサートホール全体にバランスのとれた美しい音が響き渡るように設計されている。過去にもウィーン楽友協会など同様のテクニックを用いた建造物は存在したが、Elbphilharmonieは全く新しい方法で、また見た目にもこだわり抜いてこの音響を設計した。

10,000枚ものパネルをデザインする際、音響技師から音響面のアドバイスも取り入れると同時に、ホール全体のデザインの一貫性など見た目の美しさも重視した。それらの要求をもとにHerzog and De Meuronと共同して設計にあたったBenjamin Korenは、音響面とデザイン面両方の要望を満たした、ひとつひとつ異なる形状を持つパネルを作成した。

このパネルの形を決めるときに用いられたのが、パラメトリックデザインという、アルゴリズムを用いた設計手法だ。パラメトリックデザインとは、設計に必要な要素をパラメータ化し、人間では創造しえない膨大な設計パターンを生成するアルゴリズムを組むことで、最適なデザインを決定する手法のことを指す。人ではなくプログラムがデザインするからこそ、最適な音響効果を実現したいという課題に数学的側面から取り組むことができたのだ。

「デザイナーとして、アルゴリズムの可能性を称賛したい」と設計したKoren は言う。コンサートホールは音楽を奏でる場だ。音楽は芸術だが、音波や音の性質と言うと物理学や数学の世界の話にもなる。音楽と数学は通ずるところがある。そんな世界観の融合を讃えている言葉だ。

最先端のコンピューティング技術を用いたアルゴリズムが拓くデザインの可能性は、美しい音楽となって観衆の前に立ち現れる。

【参照サイト】ELBPHILHARMONIE & LAEISZHALLE HAMBURG

(写真:ELBPHILHARMONIE & LAEISZHALLE HAMBURGより)