再エネで稼働するデータセンターの廃熱を暖房に利用するストックホルム

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普段私たちが何気なくメールを送信したりインスタグラムで写真をアップロードしたりする際に、その行為が温室効果ガスを排出していると考えたことはあるだろうか。ガソリンで走る車であれば眼前で排気ガスが出るので意識もしやすいが、インターネットの利用で温室効果ガスを排出と言われても、あまりピンとこないのが普通だろう。

しかし、実は私たちがネットで検索や投稿などをするたびに、見えないところで世界中に散らばるデータセンターが膨大な情報をせっせと処理しており、その際にものすごいエネルギーが消費され、排熱が発生しているのだ。

そんなデータセンターの排熱を上手く利用して、環境に優しいエネルギーシステムを構築しようという取り組みがスウェーデンで始まっている。北欧にあるスウェーデンはそのなかでも高緯度に位置しており冬が長く、0℃を超えれば「温かい」と表現されるほど寒い場所だ。そこで、IT集積地の首都ストックホルムは、データセンターの廃熱を屋内の暖房に利用することを思いついた。

ストックホルム市の主導のもとで先日オープンしたストックホルム・データ・パークスは、再生可能エネルギーでデータセンターを稼働しているが、さらにその廃熱を暖房会社のフォルトゥム・ヴァルメに販売。余剰熱を活用する25年もの経験とノウハウを駆使して、地域の暖房システムを通じて今まで大量に無駄にされていたエネルギーを再利用する。

(※写真:Stockholm Data Parksより引用

10メガワット規模のデータセンター一つが発する排熱は、実に2万世帯のアパートを温めるのに十分だという。これにより、温暖化につながる化石燃料の利用を減らすことが可能となり、8千メートルトンものCO2排出を削減し、カーボンニュートラルを超えてカーボンポジティブ(二酸化炭素吸収量が排出量を上回る状態)を達成することも可能だという。

データセンターで消費される電力の約半分は、IT機器の冷却と、そのIT機器の排熱を冷却するための空調設備が消費している。スウェーデンの寒い環境を冷却装置に見立てて、街全体の暖房として吸収してしまうという、何とも興味深いサイクルだ。立場を変えて表現すると、寒い街は冷却装置で、データセンターは暖房なのだ。

データセンターは航空業界と同レベルのエネルギーを消費しており、IT業界の成長に伴い今後10年でこの消費量は3倍になると見積もられている。そのため、データセンターを再生可能エネルギーで運営するという取り組みは既にGoogleやAppleなどが中心となり世界中で進んでいるが、そのデータンセンターの排熱をさらに再利用して暖房に使うという、インターネットを使えば使うほど環境がよくなる仕組みは画期的だ。

2040年までに化石燃料を一切使わなくすることを目標に掲げているストックホルムは、Sustainable Cities Index 2016によると、世界で第3位のサステイナブルな都市にランクインしている。アジア勢は2位のシンガポール、7位のソウル(韓国)、16位の香港の後塵を拝し、東京は45位でやっと登場する。先進性を売りにする日本の首都だが、とかく持続可能性については、ストックホルムには、遠く及ばないようだ。

【参照サイト】Stockholm Data Parks
【参照サイト】STOCKHOLM DATA PARKS – FROM AN URBAN DATA CENTER TO A THERMAL POWER STATION