霧をとらえて飲み水に。水不足の危機を解決する巨大ネット「CloudFisher」

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モロッコの山間に暮らすAmazighというコミュニティでは、水不足が深刻だった。村人はわずかな雨をタンクにためて状況をしのぎ、女性は一日3.5 時間もかけて水を収集していた。水不足は生存を脅かすほどで、そのために都市部に移住して家畜を売る家庭も多かった。

このような水不足による生活苦を軽減しようと、モロッコのDar Si HmadとドイツのThe Water Foundation and Aqualonisはパートナーを組んで始めた画期的なプロジェクトがある。それが、空中をさまよう霧を捕らえて水に変えてしまうというものだ。

Dar Si Hmad らが開発したのは「CloudFisher」と呼ばれる巨大なプラスチック製のネットだ。山間に垂直に立てられたこのCloudFisherは、ネットにあたった霧から水滴を集め、下に設置された水タンクへと流し、その後パイプラインを通じて家庭に直接清潔な水を送る仕組みになっている。山間では濃厚な霧が頻繁に発生するため、その自然現象に注目して開発された。

この技術は村に多大なメリットをもたらした。女性は一日3.5 時間の労働から解放され、村人は深刻な干ばつの時にも家畜を売る必要がなくなり、貧困のスパイラルに陥らずに済むようになった。そのため、都市に移住しなくても地元で安定したコミュニティを維持できるようになった。

今でこそ村の生活に欠かせないインフラとなったCloudFisherだが、当初はプロジェクトに対する地元の人々の理解を得るのも難しかったという。霧から本当に清潔な水ができるのか納得してもらえず、伝統的に水の管理を担ってきた女性達はこの新しいシステムに参加することを躊躇していた。

コミュニティと継続的な信頼関係を築き、実際に水ができる様子を目の当たりにしてもらうことで、地元の人々もこの新しい水供給システムを喜んで受け入れるようになった。技術提供だけではなく、文化的、心理的な壁を乗り越えることの大切さについても考えさせられるエピソードだ。

【参照サイト】A GROUND-BREAKING PROJECT: HARVESTING WATER FROM FOG

(※写真提供:FOG PROJECT PICTURESより)