世界の分断を緩和する、新しいメディアの形「The Perspective」

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血なまぐさい歴史に終止符を打ち、欧州の平和と共存を目指す枠組みとして生まれたEUを初めて離脱することを決めた英国のブレグジット。米国内で未だに議論が絶えないトランプ大統領の当選。この二つの出来事に共通することは、社会の階層や地域によって世論が完全に分断され、真っ向から対立したことだ。

人間には、情報を収集するときに自分の考えや価値観に沿ったものばかりを集め、それらに反する情報は無視したり、軽視したりする傾向がある。こうした傾向は「確証バイアス」と呼ばれているが、このバイアスを更に強化しているのがインターネットだ。

インターネット上では自分の興味があるキーワードやお気に入りのサイトを通じた情報収集がメインとなるため、書籍や新聞などとは異なり、偶然の発見や出会い(セレンディピティ)が起こることは少ない。また、日進月歩で進化しているテクノロジーが実現したパーソナライズ機能やリコメンデーション機能は、便利さとは裏腹にさらにその傾向を強化している。

特定の情報源から不特定多数の聴衆に発信される従来のマスメディアとは異なり、誰もが自由に情報にアクセスできるものだったはずのインターネットが、今や異なる思想や信念を持つ人々同士を遠ざけ、結果として世界の分断や対立を生み出す装置にもなっているのだ。

こうしたオンライン上のエコーチャンバー(共鳴し繰り返されること)から生じる対立や分断を是正するべく、米国では既存のメディアとは一線を画した新たなニュースサイト「The Perspective」が登場した。この名前には、和訳すると「釣り合いの取れた見方」や「将来の見通し」という意味がある。

同サイトでは、政治経済や時事問題、身近な生活やエンターテイメント、スポーツやテクノロジーにいたるまで、同じ事象を全く異なる2つの視点から同じページで論じられている。

どちらかの意見を読んでいると、もう片方の意見も自然に目に飛び込んでくるページのデザインがこのサイトのミソだ。この形式をとることで、読者の思想が一定の方向にどんどんと偏り、強化されていくことを未然に防ぎ、相反する意見への共感を促し、対立を減らす効果がある。読者はどちらに共感するか投票して参加もできるため、世論調査的な要素もある。

伝統的なメディアはそれぞれが独自の思想や信念に基づいて情報を編集し、報道しているのは周知の事実だが、そうした色をつけずに、あえて客観的な立場から賛否両論を平等に見せるという「The Perspective」の手法は、私たちの凝り固まった信念を揺るがし、新たな視点を手に入れる絶好の機会を与えてくれる。

現代を生きる私たちの多くは人類史最大の悲劇を体験していない。第二次世界大戦の終戦から70年以上が経過し、実体験の語り手も極端に減少している。戦後は対立をなくす努力が続けられてきたが世界では近年、不穏な雰囲気が漂っている。

今、世界はどこに向かっているのだろうか。本当に大丈夫なのだろうか。人々はそう思っている。「The Perspective」は時代の流れを読み、平和な世の中を作ろうと、新しいメディアの形を提案している。

【参照サイト】The Perspective