スポーツを応援するようにNPOを支援する。寄付を促すゲーミフィケーション

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スポーツは感動と興奮で人々を虜にする。勝つか負けるかの真剣勝負に人々は注目し、とりわけトーナメント方式の大会は、一回負けたら大会が終わってしまうので、誰もがハラハラドキドキする。日本の高校野球などがいい例だが、競争はスポーツにとって最高のスパイスだ。

アメリカのインディアナポリスに拠点を置くチャリティ団体Brackets For Goodはアメリカ通信大手のAT&Tとの協働し、このスポーツの世界特有の「トーナメント」方式を非営利団体(NPO)のファンドレイジングに活用し、寄付をしたい市民と資金を調達したいNPOをつなぐユニークなキャンペーンを展開した。資金調達を目指すNPO同士でトーナメント戦を行い、各団体の士気や注目度を高めることで、彼らが新たな支持者や資金を獲得するのを支援するというアイデアだ。

Brackets For Goodはアメリカ通信大手のAT&Tとの協働により、今年初めてアメリカ国内のNPOによる資金調達の全国大会を開催した。大会には31州からNPO64団体がエントリーし、トーナメント方式で1ドルを1ポイントとして寄付金額を競うというものだ。大会を行うことで、メディアにも注目されやすくなる。

熱を帯びた5週間の激戦の末に、大会のシンデレラストーリーは生まれた。参加団体の中では小規模だったAllied Arts(オクラホマ市)が、地域で懸命な募金活動を展開した結果、34万44米ドル(約360万円)を調達して見事全米チャンピオンに輝いたのだ。資金の調達も重要な成果だが、それだけではなくこの大会を通じて全国に同団体の新たなファンやアート振興活動に対する支持者が増えたのも大きい。

募金活動というとても地道な作業をあえて団体対抗のトーナメント方式にすることで、各団体に次ラウンドに進出するという短期目標を与え、成果につなげやすくしている点がポイントだ。寄付する側としても、支援しているNPOが大会を勝ち進むためなら、少し金額を上乗せして寄付しようという意識が働く。

また、支援者とNPOは互いに目標を共有し、楽しみながら参加することができる点も素晴らしい。市民はさながら地元のお気に入りのスポーツチームを応援するような感覚でNPOに肩入れし、寄付できるのだ。

そして、大会に勝っても負けても、その結果として獲得された寄付金は全てが長期的な目的達成のための資金となる。今回の大会に参加したNPOは合計で100万米ドル(約1億円)を調達したが、その31%が新規のドナーからの寄付だった。慈善事業の資金調達に新たな層を取り込んでいることがうかがえるデータだ。

Brackets For Goodのプラットフォームは、NPOが社会的に意義のある任務を進めるために、ゲーミフィケーションの手法を用いて新規や既存の支援者に話題や興奮をもたらし、寄付を促している。

NPOが掲げるミッションは様々だが、究極的にはどの団体も「世の中をよりよくする」という同じ志を持った一つのチームだ。競争することで対戦の勝ち負けはつくかもしれないが、その結果として最終的には誰もが皆、勝者となるのだ。

【参照サイト】Gaming Philanthropy: How Sports Fans are Driving Social Good
【参照サイト】Brackets For Good