NYのアーティストが考えた、温暖化を可視化するARアプリ「After Ice」

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今、世界が直面している最も深刻かつメジャーな社会課題の一つが「地球温暖化」だ。誰しもが一度は学校やテレビなどでこの問題について耳にしたことがあるのではないだろうか?

しかし、多くの人々にとって地球温暖化はどうしても遠い未来の事象であり、問題を身近に感じるのは難しいかもしれない。温暖化の危機を訴える啓蒙ポスターを眺めてみても、何かしらの新しい発見や気づきもなく、印象に残りづらいというのが正直なところだ。

こうした現状に対し、ニューヨーク在住のビジュアルアーティスト、Justin Guariglia氏はARの技術を用いて温暖化問題を可視化したアプリ「After Ice」をリリースした。

(※画像:Second Verse “After Ice”より引用)

「After Ice」アプリはNASAの温暖化に関する予測研究と2080年を想定したシミュレーション動画をベースに、スマートフォンのGPS機能とAR技術を活用して、アプリユーザーに地球温暖化を「体験」として提供するというものだ。

このアプリを使うと、ユーザーは自分のいる場所が温暖化の影響で海水面が上昇したときにどのようになるのかをフルスクリーン動画でみることができる。氷が解けていったり、魚が泳いでいたり、ビジュアルアーティストが制作したアプリならでの映像のクオリティを体感できる。

Guarigliaは、事実やデータを箇条書きで記述した資料よりも、一目で何が起こっているのか認識できる「ビジュアル」を人々に伝えることが、現代社会においては重要だと考えているようだ。たしかに、様々な情報が溢れている現代の社会においては、文言だと印象が弱く、他の情報にすぐ埋もれてしまう。ビジュアルのインパクトこそ、問題にリアリティをもたせ、人々に自分ゴトとして共有できる最良の手段かもしれない。

また Guarigliaが立案したプロジェクトでは、このAfter Iceを活用してあるムーブメントを起こした。プロジェクトに参加したボランティアの人々が、近所の将来浸食しうる水位をアプリで測り、近くの電柱や建物に「Warning! Imminent Flood Zone(警告!今にも洪水になりうるゾーン)」と書かれたポスターを貼るというものだ。このプロジェクトを通じてニューヨーク市内のいたるところに貼られたポスターは、実際の測定値に見える化という点で人々の印象を与えたに違いない。アプリの機能がシンプルだからこそ、ソーシャルムーブメントへの応用も効く。

After Iceの事例を見ると、社会問題に関する啓蒙活動の形もテクノロジーによって今後大きく変わっていく可能性を感じさせられる。ただ漫然と問題の存在を訴えるだけでは決して響かない人々に対しても、VRやARなど最先端のテクノロジーを活用したユニークな体験を提供することで気づきを与えることができるのだ。

【参照サイト】After Ice