難民少女のリアルなスマホ画面を擬似体験できるアプリ「Finding Home」

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現在の難民の危機は、誰にとっても間違いなく複雑で解決し難い問題だ。しかしながら、世界中で2,100万人以上もの難民が直面しているこの危機は、私たちの関心と行動を必要としている。

IDEAS FOR GOODではこれまでにもショールームに難民の家を展示したイケアや、VR(仮想現実)を活用してシリア難民の少女「シードラ」の生活を伝えるプロジェクトなど、様々な手段で難民問題に対する人々の関心を集める事例を取り上げてきたが、今回ご紹介するのは、今までにないユニークな方法で人々の共感を呼び起こす取り組みだ。

難民問題に対する啓蒙活動の一環としてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)がマレーシアの広告会社、Grey Malaysiaと協力して開発したのは、人々のスマートフォン画面をジャックして、16歳の難民の少女が持っているスマートフォン画面に変換するというアプリだ。

Finding Home」と名付けられたこのアプリでは、迫害を免れるためにミャンマーから逃げ出す16歳の架空の少女、Kathijahが手にしているスマートフォン画面を疑似体験することができる。

Finding Homeを使うと、ユーザーはあたかも自分がKathijah自身であるかのようにメッセージや電話を受けたり、彼女がとった写真やビデオを見たりすることができる。画面にはしばしば避難する際の危険な場所や安全な場所についての会話チャットが表示され、難民として生きる少女の日常が臨場感を持って迫ってくる。

このアプリ内には、ジャングルの急襲の中を必死で走るKathijahの兄弟からのビデオコールのような憂鬱で恐ろしい瞬間もあるが、Kathijiahが旅の途中で友達を作るような希望溢れる瞬間もあり、リアルなストーリーテリングデバイスとして私たちに彼らの日常を追体験させてくれる。

マレーシアには現在約15万人の難民がおり、そのうち18歳未満の子どもは約3.5万人もいるという。彼らは実際に私たちがFinding Homeで擬似体験できるものと似た経験をしているのだ。このアプリは難民の危機を直接解決するものではないが、外部の人間が現状をより理解し、行動を起こすように促すことができる。ときにはテクノロジーが人間のつながりを壊すこともあるが、このアプリには理解と共感を生み出す力が備わっている。

アプリの主人公であるKathjiahは架空の人物だが、難民の問題自体は決して架空でもフィクションでもない。自分の使い慣れたスマートフォンを通して難民の現状を知ることは、かなりショッキングな体験ではあるものの、私たちの難民問題への関心を強める大きなきっかけとなる。

【参照サイト】Grey Malaysia And UNHCR Launch Unique Smartphone Application To Experience A Rohingya Refugee’s Journey
【参照サイト】Finding Home