自分のために貯金しながら、世界のために募金する。世界初の「募金貯金箱」

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皆さんは、普段からどのくらい寄付や募金をしているだろうか?日本ファンドレイジング協会の調査によれば、2014年の日本における個人の寄付総額は約7,400億円。寄付した人の平均支出額は17,215円だった。

一方で、貯蓄好きと言われる日本人の預貯金の状況はどうだろうか。日銀のデータによれば、2016年第三四半期時点の日本の家計金融資産は1752兆円で、そのうち52%にあたる916兆円が現金・預金となっている。日本人が持つ預貯金の資産を考慮すれば、まだまだ寄付に向かうお金の余裕はたくさんあることがよく分かる。

しかし、ほとんどの人にとって募金は貯金ほど身近なことではない。家に貯金箱があるという人は多いだろうが、募金箱があるという人はいないだろう。そこで生まれたのが、家庭で寄付文化を育てることを目的として作られた、世界初となる「募金貯金箱」だ。

貯金箱と募金箱が一体になったこの「募金貯金箱」、ユニークなのはそのデザインだ。「For me」(自分のため)と「For the World」(世界のため)という2つの箱に分けられており、それぞれの箱に小銭の入り口が用意されている。お金が貯まることでどちらかの箱が重くなると傾くシーソーのようなデザインにすることで、日常生活の中で小銭を入れるたびに「世界」のことを考えさせられるように設計されている。

この箱を目の前にすると、For meの箱に小銭を多く入れたら、バランスをとるためにそのぶんFor the Worldのほうにも小銭を入れたくなってしまう。また、「世界のため」だけに募金するだけではなく、「自分のため」に貯金することも大事にしている点もポイントだ。

制作を手がけたのは、オックスフォード大学院を卒業後、ヴァージングループやダイソンなどでマーケティングを手がけた経験を持つ小里博栄氏が代表を務めるLA DITTAだ。同社は、「日常の中で少しだけでも他の人の気持ちを考えられるようになったら、きっと世の中は良くなっていくはず。」そんな思いから「Me for the World」(自分から世界へ)とプロジェクト名をつけ、この「募金貯金箱」づくりを始めた。

昨年開催されたTOKYO DESIGN WEEK 2016 “100人展”にて「募金貯金箱」を展示したところ、多くの来場者から商品化を望む声を受け、今年の4月からウェブサイト上で正式に販売を開始した。商品売上の1%は寄付される。

この募金貯金箱は既に日本フィランソロピー協会やジャパンギビングなど多くの団体から協力や賛同を集めており、LA DITTAは活動を通じて日本における寄付文化を新しいアプローチから育てていくとしている。

この募金貯金箱が家にあれば、子どもは小銭を貯金するたびに世界のことを考えるきっかけになるだろう。また、家庭はもちろんだが、CSRの一環として金融教育を展開している金融機関にとっても、有効な教育ツールとして活用できそうだ。

私たちが銀行に預けているお金も、私たちの知らないところで金融機関によって運用され、めぐりめぐって世界中の様々な社会・環境プロジェクトに投融資されている。その意味では、貯金するだけでも十分「世界のため」にはなる。しかし、寄付や募金であれば、そのお金を使って具体的にどんな社会課題の解決に貢献したいのかを、自分の意思で決めることができる。自分で決めるためには、社会にどんな問題があり、誰がどこで困っているのかをよく理解することが必要だ。子供たちにとっては、募金は社会とつながる第一歩になる。

この募金貯金箱を使う子供たちが「自分のために」と同じぐらい「世界のために」を考えられるようになれば、彼らが大人になるころには世界はもっと素敵な場所になっているだろう。

【参照サイト】Me For The World