フランスの保険会社が開発した、最も安全なルートを教えてくれるカーナビ「The Safest Route」

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どこかにドライブに行く時、たとえそこが初めて行く場所だとしても、カーナビのおかげで私たちは無事に目的地に到着することができる。一般的に、カーナビは現在地から目的地までの最短ルートを教えてくれるものだが、最短ルートとは異なるルートを提案してくれる一風変わったカーナビがあることをご存知だろうか?

そのカーナビの名は「Le Trajet Le Plus Sur(The Safest Route)」。フランスの保険会社Groupamaが開発した、「最も安全なルート」を教えてくれるカーナビだ。

The Safest Routeは、フランス政府が保有する過去に発生した膨大な交通事故データを活用して作られている。目的地を入力すると最短ルート(一般的なカーナビが示すもの)と最も安全なルートの2つが示され、運転手はその2つのルートの所要時間を比較し、どちらのルートを利用するか選ぶことができる。例えばパリでエッフェル塔からリヨン駅まで行く場合は、最短ルート(22分)と最も安全なルート(29分)の所要時間の差はたった7分だが、なんと最短ルートのほうが219回も多くの事故が発生していることを教えてくれる。運転手はこの情報を比較して、自分が用いるルートを選ぶことができる。

もっとも安全なルートを教えてくれるカーナビ

Image via Le Trajet Le Plus Sur

このカーナビの高い信頼性と効果を裏付けているのが政府のオープンデータであるという点で、オープンガバメントに関する興味深い事例としても捉えられる。オープンガバメントとは、インターネットを活用して政府を国民に開かれたものにする試みだ。このカーナビには過去7年間の交通事故に関する公的データが正確な位置情報にマッピングされており、そのデータを統計的に活用して独自のアルゴリズムを作り上げている。このアルゴリズムによって、いつものルートの所要時間の20%以上を越さない範囲で、事故を起こしづらいルートが導き出されている。このサービスには共有機能もあり、それぞれのユーザーが安全なルートを様々なソーシャルメディア上で共有することで、安全なルートを利用するユーザーを増やすことを勧めている。

また、自動車事故のリスクを低減させるこのカーナビが浸透することは、開発元である保険会社Groupamaのプロモーションにも繋がるだろう。GroupamaのCEOであるThierry Martelは「このサービスはGroupamaのパイオニア精神と共産主義精神の実例である。私たちは常にメンバーの声に耳を傾けて、日常生活をより楽にする解決策を求めている。The Safest Routeは、日常生活においてたくさんの人が気にかけている問題の1つである道路の安全に対しての解決策である。現在の私たちの夢は、Groupamaの非会員も含めた全ての人がこのサービスを利用することだ。そして、道路輸送のプロフェッショナル達から推奨され、主要なGPSブランドのアップデートに統合されることで、全てのフランスの人々に道路の安全をもたらしたい。」と述べている。

The Safest Routeは、政府の公的データや最新のGPS技術を活用して最も安全なルートを提示することで、人々が日常生活で抱えている安全の問題を解決しようとしている。また、移動のスピードや効率だけでなく、運転するユーザーの安全を徹底的に考慮したこのカーナビは、「人々の日常生活をより楽にしたい」というGroupamaの保険会社としての姿勢も表している。

【参照サイト】Letrajetleplussur.fr
(※画像:Letrajetleplussurより引用)

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