IBM、テクノロジーで世界の課題解決に挑む「Science for Social Good」を発足

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テクノロジー大手のIBMが、世界が抱えるあらゆる社会課題に対し、人工知能(AI)やマシンラーニングなど同社が保有する最先端のテクノロジーを活用して解決に取り組むイニシアチブ、「Science for Social Good」をローンチした。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)に沿った12のプロジェクトが計画されており、いずれもIBMのテクノロジーや科学を武器に、エンジニアや研究者がNGOらと協働して問題解決に取り組む。

IBMは疾病の予測、貧困と飢餓の撲滅、識字率向上、緊急支援、オピオイド危機など幅広いプロジェクトにおいてソリューション開発に、同社のAIやデータ分析技術を駆使する。

プロジェクトの1つは「Emergency Food Best Practice: The Digital Experience」と呼ばれるもので、これはインタラクティブなデジタル技術を使って緊急時の食糧配給におけるベストプラクティスをまとめ、非営利団体と共有するというものだ。IBMはNPOと協働して最適な配給モデルを構築し、ニューヨーク市内における毎日2,500食以上の食事提供を支援する。

また、特に成功しているプロジェクトとしては、Zikaウイルスの拡散予防プロジェクトが挙げられる。Zikaウイルスの拡散の仕方をよりよく理解するためにIBMのマシンラーニング技術が活用されており、同社は複雑なデータを使用してZikaウイルスの監視と管理の対象となる霊長類種を特定する予測モデルを開発した。プロジェクトの成果はウイルスの感染拡大を防ぐための現場テストで活用されているという。


他にも、字の読めない人が自信を持って情報社会で生きてゆくことができるよう、AIを使用して複雑な文字情報からメッセージを抽出し、ビジュアルや音声によりナビゲートするといったユニークなものもあり、「科学やテクノロジーの力で社会をよくする」プロジェクトが満載だ。

IBM Researchのディレクターを務めるArvind Krishna氏は「今年のプログラムに選ばれたプロジェクトは、新しい疾病の予測、イノベーションの促進、文盲と飢餓の緩和、貧困救済など重要なテーマをカバーしている。」と述べる。

IBMは、世界各地に12か所の研究施設と3千人の科学者を抱え、プログラム言語FORTRAN、幾何学の概念フラクタル、フロッピーディスク、ハードドライブ、関係データベース、RISCアーキテクチャ、バーコード、目のレーザー手術、ディープブルー、人工知能ワトソンといった数々の歴史的な開発を成し遂げてきた。

その中でも特に時代の最先端を走り、開発以来、医療、教育、環境問題などに取り組んできた同社のAIである「ワトソン」がプロジェクトの成功に大きく貢献することを見込んでいる。IBMフェローのAleksandra Mojsilovic氏は「このチャレンジを行うのにIBMリサーチに勝る者はいない。」とコメントし、決意と自負が見て取れる。

テクノロジーが目まぐるしいスピードで進化するなかで、AIは労働者の職を奪い、人間の脅威となりうるといった批判的な意見も散見されるが、テクノロジーはあくまで手段であり、重要なのは何のために使うかだ。IBMが人工知能のワトソンやマシンラーニングなど同社の事業のコアとなる強みを活用してどのように社会をよりよい方向へとシフトさせていくのか。今後のプロジェクトの成果に期待したい。

【参照サイト】Science for Social Good
【参照サイト】Science for Social Good: Science in Service of Humanity