VRの世界で寄付をして、現実世界を変えられる「Virtual Village」

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バーチャルリアリティ(VR)は、収益を生み出すビジネスアプリケーションに多くのチャンスをもたらしている一方で、そのテクノロジーはソーシャルグッドにも活用できる可能性も秘めている。ロンドンに拠点を置くVRスタートアップのVirtual Villageは、まさにその可能性を示している。

Virtual Villageは、ユーザーが360度動画でアフリカの村を歩きながら、学校や住民の家などを訪ねて人々の生活の現状を知り、教育や医療、農業など自身が興味を持ったテーマに対してその場で寄付ができるというサービスだ。ゲーム内の寄付は特定のチャリティプロジェクトに直接送られる仕組みとなっている。寄付をするのは仮想現実の世界だが、そのインパクトは実際の現実世界に反映される。

ユーザーは、仮想現実のなかで井戸や学校、病院を建設し、教育や医療サービスを提供することで、アフリカの村落に住む人々の暮らしを体験しながら彼らの生活水準を向上させることができるようになっている。

Virtual Villageの特徴は、ユーザーが自身の寄付行為がコミュニティに与える影響を仮想現実のなかで目の当たりにできるという点だ。例えば、最初は井戸が乾いた状態で示されているが、寄付をすると村人が井戸から綺麗な水を引き出せるようになるといった具合だ。ユーザーは、村に自分の友達を招待してプロジェクトに一緒に取り組むことで、村の改善をよりスピードアップさせることもできる。モバイルアプリはAndroidとiOSのスマートフォンで利用でき、VR用のヘッドセットがなくても見ることが可能だ。

Virtual VillageはVRの技術を活用してユーザーに臨場感あふれるインタラクティブなゲーム形式で寄付体験を提供すると同時に、慈善団体に対しても新しく強力な資金調達ツールを提供しており、まさに没入型の寄付マッチングプラットフォームだと言える。

今後はアフリカの村に加えてインドやバングラデシュ、パキスタン、南アフリカなど他地域のコンテンツも立ち上げる予定だという。Virtual Villageの代表を務めるVera Grablechner氏によると、「私たちのビジョンは、世界中の慈善団体をバーチャルに表現すること」だという。

VRをソーシャルグッドな試みに活用する事例は近年増えているが、Virtual VillageはVRのテクノロジーだけでなく、ゲーミフィケーションも上手に活用している例だ。仮想空間における寄付体験が実在するチャリティプロジェクトへの援助に直接つながること、また、自分以外のユーザーと協力することでより効果的な援助が可能になることなど、ユーザーが楽しみながら継続的に援助したくなるような様々な仕掛けが組み込まれている。

今後はアフリカのみならず様々な地域でも展開予定とのことだが、どこにいてもスマートフォンを使えば手軽に援助ができるこのアプリが世界中に浸透することで、助け合いの輪が広がっていくことを期待したい。

【参照サイト】Virtual Village

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