多様性のある都市にふさわしい挨拶を。ロンドン地下鉄が「淑女・紳士」の表現を廃止

Browse By

伝統的な淑女と紳士の国、英国。その首都ロンドンには世界最古の地下鉄が今日も行き交う。東西南北にくまなく広がるネットワークはロンドナーには、なくてはならない足だ。

その地下鉄やバス等を管轄するロンドン交通局(TFL)は、従業員に対して「ladies and gentlemen(淑女・紳士の皆様)」というジェンダーを特定する挨拶を廃止することを通達した。

ロンドンで暮らすLGBTQなどの多様なジェンダーコミュニティに配慮し、今後は「good afternoon, everyone(みなさん、こんにちは)」といったジェンダー・ニュートラルなフレーズを使用するという。構内放送のすべてのアナウンスや、案内表示等も段階的に変更される予定だ。

伝統的に丁寧とされていた呼び方から、かなりフレンドリーな言い回しへの変更となる。言葉は生き物で時代とともに変わってゆくものだ。今回のように人に最も身近なツールの一つである言葉を変えることで、世の中が理想に近づいていく効果も期待できる。

TFLの乗客戦略担当ディレクター、Mark Eversは「私たちは万人を交通ネットワークで歓迎したい。使っている言葉を見直し、しっかりとロンドンの多様性を反映させる」と語る。

数か月にわたり、ジェンダーマイノリティのLGBTQコミュニティがTFLに変更を求めるロビー活動を行ってきた。先月には、緑の党(英国)のSian Berryの質問にイスラム教徒初のロンドン市長、Sadiq Khan氏が行動に移すことを約束していた。

なお、TFLは方針について従業員にその趣旨を説明し、善意から時折「(ladies & gentlemen)」という言葉を使用することはあり得るとしている。ただし、あまりに頻繁に連呼する場合、TFLはスタッフに注意喚起を行うという。

このように言葉を近代的で中立な表現に変更した例としては、英国発祥のスポーツであるサッカーにおいて「非紳士的行為」と言われていたものが、「非スポーツ行為」と呼ばれるようになったことが挙げられる。日本でも以前は「看護婦」と呼ばれていたものを「看護師」というようになっている。

世界で最も多様性のある都市の一つであるロンドンが、そのコミュニティのニーズを反映し、再び先進的な取り組みを始める。今後は、類似の表現が使用されている他の都市や地域も追随する可能性がある。

【参照サイト】London Underground scraps ‘ladies and gentlemen’ for gender-neutral greeting