自閉症者に静かな時間を。刺激の少ない店内でショッピング

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自閉症の人が持つ傾向のひとつに、感覚過敏というのがある。健常者であれば、店内に流れる音楽や明るいライトもほどほどにシャットアウトして平穏を保つが、自閉症の人には刺激が強すぎるのだ。感覚器官が外部の刺激を過大に受けとめてしまう結果、ストレスや恐怖を感じやすく挙動不審になることも多い。

そういった理由からショッピングに行くのが困難な人のことを考え、オーストラリアのスーパーマーケットColesは、自閉症の人のサポートを行う非営利組織Autism Spectrum Australia (Aspect)と協力して、お客さんが強い刺激を受けずに買い物ができる時間帯を設定した。Quiet Hourと呼ばれるこの時間帯は、店内のラジオのボリュームを最小にしたり、明かりを50%減光したり、非常時以外のアナウンスを避けたりして、買い物客ができるだけ静かな環境で過ごせるよう工夫がされている。

この取り組みは、Aspectが自閉症者とその家族に対して行った調査の結果に基づいて導入されたものだ。Quiet Hourは火曜日の午前10時半から午前11時半に設定されているが、これは火曜の午前中に買い物をする自閉症者が多いというデータに基づいてのことだ。店内の音や明かりが買い物の妨げになるという指摘も調査から明らかになっている。

またQuiet Hourでは、人によるサポートも丁寧に行う。感覚が過敏な人のことを理解し、そのうえで彼らの要望にどう応えるか、といったトレーニングを受けたスタッフが店内での補助にあたる。自閉症関係の組織が関わるプログラムではあるが、Quiet Hour中の利用は自閉症の有無に関係なく誰にでも開かれている。偶然その時間に訪れた人は、思わぬきっかけから自閉症に対する理解が深まるかもしれない。

障害を持つ人が伸び伸びと過ごせる社会を目指すには、理解や共感を集めるといったソフト面からのアプローチもあれば、設備やシステムを変えるといったハード面からの対策も大切だ。Colesの取り組みはその両面を含んでおり、社会的弱者への支援として上手くバランスがとれているように感じる。

【参照サイト】Coles pilot sensory-friendly shopping experience