環境負荷は大幅に削減、性能は劇的に向上。ナイキのサステナブルな新素材「Flyleather」

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従来、スポーツ用品メーカーがシューズやウェアの製品開発をする際の焦点は、どれだけ性能を向上させ、アスリートのパフォーマンスに好影響を与えるかという点だった。

しかし、昨今では人々は機能のみならず製品のサステナビリティにも注目しており、その流れはスポーツ界にも波及している。最近では、ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスが海洋廃棄物からシューズを作るなど熱心に環境保護に取り組んでいることで知られている。

一方で、スポーツ大国アメリカの雄であるナイキは、黎明期からバスケットのAir Jordan等、スポーツ用品の開発を牽引してきた存在だが、アディダス同様にサステナビリティに力を入れており、「サステナブルイノベーション」をコンセプトに掲げて地球にも人にも優しい製品づくりに取り組んでいる

そのナイキ社が新たに開発した「Nike Flyleather(ナイキ・フライレザー)」は、アスリートのパフォーマンスが向上するよう設計された軽くて耐久性もある素材だが、何より優れた特徴は、その製造過程のサステナビリティにある。

Nike Flyleatherは天然の皮革繊維を少なくとも50%使用した新素材で、従来の皮革製造よりも水の使用量を90%削減し、カーボンフットプリントは80%削減することに成功した。ナイキが2012年に発表したNike Flyknitと同様に、このサステナブルな新素材は業界のゲームチェンジャーになる可能性を秘めている。

ナイキは、エンジニア、科学者、デザイナーらが総力を結し、同社のなかで最もカーボンフットプリントが低いレザー素材を作ることに成功した。一般的な皮革製造プロセスでは牛皮の30%が廃棄処分されるが、ナイキはこの廃棄物を減らすべく、革のスクラップを繊維に変えた。リサイクルされた皮革繊維は、特殊な水力加工によって合成繊維と組み合わされ1つの布地素材に融合され、その後に色素沈着等の仕上げプロセスを経て完成される。見た目と触れた感覚はプレミアム・レザーと変わりない。

レザーはナイキが発表してきた多くの代表的なシューズに使われているが、二酸化炭素の排出量と水の使用量が多く、環境負荷が大きいというネックがあった。Flyleatherは、その常識を覆す歴代製品のなかで最も持続可能な革素材なのだ。

Flyletherで作られたシューズは従来のレザーと比較してカーボンフットプリントが約半分になる。また、ロール状の生地として生産されるためカットして縫う革製品の伝統的な製法よりも無駄が少なく、製造効率も改善されている。

さらに、Flyletherのすごさはサステナビリティにとどまらない。サッカーやバスケットボールのようなスポーツでは、早い時期からパフォーマンスを向上させるシューズは革で作られてきたが、Flyleatherは従来の革より40%も軽く、強度は何と5倍だ。これまでとは段違いでスポーツ競技に与える影響は大きく、東京五輪でも力を発揮することが予想される。

ナイキでCSO(最高サステナビリティ責任者)を務めるHannah Jones氏は「アスリートにとって、地球は最大の運動場だ。だからこそ、我々にとって最大の機会とは、地球を守りながら革新的な製品を作り出すことにある」と語る。

スポーツをしながら大地を走り抜けるためには、そのための地球が必要だ。地球の環境なくしてはどんなスポーツも楽しむことはできない。Nike Flyleatherは「地球あってこそのスポーツ」というコンセプトを体現した、優れたサステナブルイノベーションの事例だと言える。

【参照サイト】WHAT IS NIKE FLYLEATHER?

(※写真:NIKE WHAT IS NIKE FLYLEATHER?より)