耳の感染症をAIでリモート診断。途上国の子供を救うスマート医療デバイス「hearScope」

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先進国では全く問題にならないことが、発展途上国では大きな問題になっているという事例は多々ある。例えば子どもの感染症がその一つだ。日本であれば保険証を持って病院に行くだけですぐに医師が診察してくれるが、発展途上国では近隣に医師が一人もいない地域も多く、たとえ病院があったとしても診察に高額の費用がかかってしまう。国民皆保険制度というものは先進国のみの発想なのだ。

こうした途上国では、耳の感染症が原因で聴力を失ってしまう子供たちが数多くおり、実際に世界では人口の5%が慢性的な耳の感染症を患っている。この問題を解決する大きな可能性を秘めたスマートデバイスが、南アフリカに本拠を置くhearXGroupが開発した「hearScope」だ。

「hearScope」はスマートフォンと接続して使用する耳の診察スコープで、単なるデバイスを超えた一つの診療システムとして機能する。使い方はとても簡単で、スコープを患者の耳に入れるだけで、耳の中がスマホの画面に動画として表示されるため、内部の状況を詳しく診察することができる。

しかし、「hearScope」がすごいのはここからだ。この動画を基に患者の状況を診察するのは、はるか遠くにいる医師とAI(人工知能)なのだ。まずはビッグデータを駆使してAIが診断を下し、必要に応じて医師がリモートから診察を行うという仕組みになっている。患者の画像やカルテはすべてクラウド上に保存、蓄積されていくことで、それがビッグデータとなりAIを進化させていく。

hearScopeは大手クラウドファンディングサイトの「Indiegogo」で資金調達し、既に27,000米ドル以上の調達に成功している。

hearScopeがあれば、たとえ医師がいない地域でも、先進国の病院と同レベルの診察を受けることができる。まさにテクノロジーの力で社会課題の解決に取り組む好事例だ。このhearScopeが広く途上国に行き渡ることで、一人でも多くの健康な子供たちが増えることを期待したい。

【参照サイト】hearScope
【参照サイト】hearScope : Next generation smartphone otoscope-Indiegogo

(※写真:hearScope : Next generation smartphone otoscope-Indiegogoより)