【インタビュー】CSRと経費削減を同時に実現。世界初の循環型CSRプラットフォーム「e-Pod」の挑戦

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企業が事業活動を通じて経済面だけではなく社会面や環境面に与える影響についても責任を持ち、顧客や株主だけではなく従業員やサプライヤーといったあらゆるステークホルダーの利害にも配慮しながら事業を行うことを意味する「CSR」(企業の社会的責任)。

最近では「CSR」という言葉もだいぶ浸透してきたが、それが意味するところを正確に理解できている人はまだまだ少ないのが現状だ。CSRと聞くと、災害発生時の寄付やボランティア活動、植林活動や不祥事を防ぐためのコンプライアンス活動など、断片的な活動を思い浮かべる人も多いだろう。また、CSRは利益の一部を拠出して行う社会貢献活動であり、基本的には「コスト」であるという認識も未だに根強い。

しかし、本来のCSRとはむしろその逆であり、企業が持続可能な形で発展し、利益を出し続けるうえで欠かせないものだ。例えばCO2排出や水使用、廃棄物の削減といった環境活動は直接的にコスト削減につながるCSRであり、事業効率を大きく高めてくれる。また、より社会貢献意識が高いミレニアル世代が消費者の中心となりつつある現代では、積極的なCSR推進がもたらすマーケティングやブランディングといった副次的効果による利益への貢献も決して少なくない。CSRは短期的にはコストと捉えられがちだが、長期的に見てみればコスト削減・売上増加の双方を実現し、結果として企業に多くの利益をもたらしてくれる重要なドライバーの一つでもあるのだ。そして、その重要性は年々高まっている。

この社会にも自社にも利益をもたらすCSRという取り組みを支援するべく、コスト削減とCSRを同時に実現できる全く新しいサービスを創りだした企業がある。それが、今年の9月に世界初となるCSRに特化した社会貢献プラットフォーム「e-Pod」をローンチしたTAAS株式会社だ。

世界初のCSRに特化した循環型社会貢献プラットフォーム「e-Pod」とは?

「e-Pod」は「ecological-pod」の略で、簡単に説明すると、チラシなどの不要な廃棄書類を毎月送られてくる専用のボックスに詰めて送ると、その紙が工場でリサイクルされ、新しいコピー用紙やメモ帳などのアイテムに生まれ変わって戻ってくるという循環型のサービスだ。

e-Podはまず法人向けにサービス(e-Pod for business)を開始しており、企業は毎月定額料金(3プラン・最安は月額10,000円~)を支払うことでサービスを利用できる。どのアイテムを受け取るかはウェブ上のメニュー内から自由に選択可能だ。また、e-Podは日本郵便と提携しており、廃棄する紙を入れるボックスの回収から交換したアイテムの郵送まで全て対応してくれ、その依頼もウェブ上からボタン一つでできる。

e-Podを利用することで、企業は機密文書などの処理コストを削減・リプレイスできるだけではなく、新しいオフィス用品の購入コストも節約することができ、導入による経済的メリットが大きい。また、e-Podは「参加型」を重要なコンセプトに掲げているが、従業員が自ら不要な書類やチラシなどをボックスに詰める、そして自分たちが詰めた紙が新たなアイテムとなって再び自分のデスクに戻ってくるという体験を通じ、日々の業務においてCSRを実践することができる。

古紙回収という旧態依然とした世界にインターネットを掛け合わせることで、これまでありそうでなかった全く新しいビジネスモデルを構築しているe-Pod。ユーザー視点から見るとコスト削減と社会貢献が同時に実現でき、全てのやりとりがウェブ上で完結するとても便利で素敵なサービスだが、その裏側には紙の回収から資源化、そして新たな商品へのリサイクル、郵送にいたるまで、あらゆる工程の地道な積み重ねがある。

このe-Podの裏側がどうなっているのか、そもそもなぜこのビジネスを始めようとしたのか、そして今後どのように進化を遂げていくのか。e-Podを手がけるTAAS株式会社の代表取締役兼CEO、大越 隆行氏にお話を伺った。

話者プロフィール:TAAS株式会社 代表取締役兼CEO 大越 隆行


株式会社grooves、アマゾンジャパン合同会社、ランサーズ株式会社を経て、2016年10月にTAAS合同会社を設立、同社代表に就任。2017年9月、TAAS株式会社へ株式会社化。同社、代表取締役兼CEO。アマゾンジャパン社在籍時には世界最年少事業責任者に就任(26歳)。ランサーズ社在籍時には「Lancers Philippines, Inc.」を設立、同社取締役を経験。

インタビュー「CSRと経費削減を同時に実現」

Q:このサービスを思いついたきっかけは?

もともとは、私自身が自宅マンションの郵便ポストに入ってくるチラシを毎回同じようにポストを開けてはゴミ箱に捨てるということを繰り返しており、ほぼ全ての人が同じ行動パターンをとっているのを見たときに、何かもったいないなと感じたのがきっかけです。

そのため、当初はe-Podの発想は個人向けだったのですが、よくよく市場に目を向けてみると個人よりも企業のほうが紙の消費や廃棄量が圧倒的に多かったため、まずは企業からサービスを広げていこうと思い、スタートしました。

Q:e-Podが掲げる「参加型のCSR」が意図するところとは?

CSRという意味では、ほとんどの企業が半年に一度そうした活動をやっている程度で、日々日々CSRに取り組んでいるという感じではありません。しかし、本来会社としてやるべきCSRは毎日取り組むものであり、実態を伴わせるべきではないか、というのがe-Podの提案です。

そのため、e-Podでは「参加型」と言っていますが、申込みして頂いてスターターキットがオフィスに届くと、まずは従業員の方に段ボールを箱へと組み立てて頂くところから始まります。CSRやコスト削減は誰かに任せて終わりではなく、一人一人が取り組むものです。自分たちのゴミを自分たちで箱に入れ、自分の手元にアイテムが戻ってくるという体験をすることで、自らコスト削減やCSRに貢献していると感じることができます。

インテリアとしてもお洒落なe-Podのボックス

Q:非常にユニークなサービスだが、その裏側はどのようになっているのか?

ロジスティクスについては戦略パートナーとして日本郵便に提携いただいており、発送については全て日本郵便が担っています。そのため、ウェブ上から紙を詰めた箱の回収を依頼いただければ、最寄りの郵便局の方がオフィスまで集荷に来てくれます。エリアは既に全国対応しています。

回収した紙はe-Podが提携している工場に持っていき、そこで「溶解処理」という方法で処理し、資源を生成します。そして、アイテムについては、私自身が関係会社と一緒に全てオリジナルで製作しています。処理業者とアイテムを作る会社は、同じこともあれば、違うこともあります。

現在はコピー用紙や電話応対に使うメモ帳、来客時のドリンクコースター、名刺入れ、便せんなど9アイテムありますが、順次増やしていく予定です。選べるアイテム数は料金プランに応じて変わってくるシステムとなっており、一番安いプランであれば月1点まで選ぶことが可能です。料金プランの変更もいつでも可能です。

スタイリッシュなアイテムの中から選べる

Q:e-Podの主なターゲットは?

現在導入頂いている会社はネット系の会社から上場企業、町の工務店まで幅広いですね。CSRの側面はもちろん、経費削減につながるという点に魅力を感じていただいています。

コスト削減やCSRに取り組みたい組織であれば、企業体の規模を問わず自治体なども含めて導入の対象にはなるかなと考えています。現在は13社に利用頂いており、来年の8月までに200社の導入を目指しています。

Q:コスト削減は導入企業にとっての大きなメリットですね。

ノートやコピー用紙といった備品類は、現場の方が意識しないところで総務の担当者がネットなどで注文しているケースが多いと思いますが、実際はそこにもお金がかかっているわけですね。しかし、e-Podには、そうした備品の購入費用が既に月額費用に含まれているので、コスト削減につながります。

また、もともと企業は機密文書の処理費用などで月額数万円程度は支払っており、大企業であればもっとコストをかけています。その費用をe-Podにスイッチすることで、これまでと同様以下のコストで文書が処理できるだけではなく、さらにアイテムまで戻ってくるというイメージです。

Q:導入企業からはどんな声をいただくことが多いか?

e-Podを導入いただくと、ウェブ上で自社がどのぐらい箱を出して、どのぐらいの重さの資源を出したかが一目で分かり、さらにアイテムという目に見えるアウトプットとなって返ってきます。導入企業様からは「やはり見える化されるのがよい」という声を頂きます。

今まで自分たちが出したゴミがどのように処理され、その後にどうなっているのか、企業も処理業者も誰も分からない状況でした。しかし、それを可視化することで、自分たちが使用する資源に愛着を持ってもらえるのではないかと思っています。

Q:そもそも紙を使わない、デジタル化の推進についてはどう考えるか?

e-Podの事業ゴールの一つが無駄な紙の廃棄をなくすことですので、デジタル化が進むことはいいことだと思います。その上で、紙の処分であればe-Podという風にしていきたいなと思います。

Q:「プラットフォーム」と謳っているが、その意図は?

現在は企業と個人という2方向のみですが、将来的には紙を処理している事業者も登録できるようにしたいなと考えています。処理業者は日本全国津々浦々にありますので、企業が依頼したときに最寄りの処理業者にオートメーション発注されるような仕組みが作れるとよいなと。企業・個人・処理業者の三方向が登録でき、それらが円滑に回っていくプラットフォームにしていくことで、全てが循環すると考えています。

Q:今後の展開は?

個人向けについては2019年10月を予定していますが、法人向けのサービスを展開してみて出てくる課題や改善点をもとにブラッシュアップしつつ、個人向けにチューニングした上でリリースしようと考えています。

また、まずはe-Podを日本で普及させ、将来的には主要G8の中でも特に環境意識が高いイギリス、フランス、ドイツといったヨーロッパ諸国でもチャレンジしていきたいと思っています。

インタビュー後記

オフィスでは、誰もが当たり前のように書類をコピーし、ゴミ箱に捨て、シュレッダーにかけている。大量の紙を使用することが環境負荷につながることも、一枚一枚にコストがかかっていることも、意識することはあまりない。しかし、e-Podは私たちが普段意識していない「資源の循環サイクル」を、手触り感のあるサービスとして体感させてくれるサービスだ。

自分が無意識のうちにコピーし、捨てている紙の量は毎月どのぐらいあるのか。そしてそれらの紙を使うことで、どれほどの製品を創り出すことができるのか。不要な書類とそれを資源に作られたアイテムを自ら手に取って触れることで、資源の大切さを深く実感することができる。

e-Podを通じて従業員の一人一人がCSRを「ジブンゴト」化することができれば、企業にとっては短期的なコスト削減だけではなく、長期的な意味でも大きな競争力の源泉となるだろう。e-Podの挑戦はまだまだ始まったばかりだが、これからさらに広がっていってほしいと思わせてくれる素敵なサービスだ。

【参照サイト】e-Pod for business
【参照サイト】TAAS株式会社