リサイクルされた廃プラスチックでつくる、サステナブルな難民シェルター

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家は生活の基盤であり、人がそこから逃れるのにはそれなりの理由がある。災害、紛争、貧困など、事情は様々だ。

国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2016 年末時点で移動を強いられた人の数は6560万人で、前年比よりも30万人増加し、過去最高となった。紛争や迫害などにより、世界中で毎分20人が、家を離れ移動を余儀なくされた。しかもその51パーセントが18歳未満の子供だという。

この記録的な数字の背景には、特にシリア内戦による周辺諸国への難民流入があげられる。レバノンでは6人に1人、ヨルダン11人に1人が難民として暮らしている。

そのような状況を改善しようと、現在英国バース大学の研究チームはプラスチック工学のスペシャリストであるProtomaxと協力し、難民の安全を確保でき、環境にも優しく持続可能なシェルターの設計・開発プロジェクトを進めている。

開発中のシェルターはStormboardと呼ばれる再利用可能なリサイクル廃プラスチックでできている。このプラスチック材は、シェルターが必要になるまで何十年も保管することを可能にする。設計の原理は組み立て式家具に似ており、安価で設置も簡単で、色も様々なバリエーションがある。床のサイズは3.6x.48メートルで、一つの家族が住むには十分な大きさだ。また、複数のシェルターを繋げることで長屋のようにより大きく頑丈な構造にすることも可能になっている。Storm Boardはテントよりも高レベルの防水と断熱性と安全性を提供しており、さらに廃プラスチックの環境への影響まで軽減するという優れものだ。

このプロジェクトは英国のEngineering and Physical Sciences Research Councilが財政支援する国際研究プロジェクトの一環で、極限の気候で暮らす難民のために、持続可能な材料で様々な非常用シェルターを作っている。

プロジェクト期間は2020年4月までの3年間で、低コストで簡単に住宅を建て、気温の寒暖を和らげ、住民のプライバシー、安全、尊厳を確保し、難民キャンプの生活環境を改善することを目的としている。

この分野で世界最大規模の研究で、難民キャンプの住居における気温や空気の質、社会的条件を調査する。大学の建築研究施設で試験した後、最も有望な設計の住宅がヨルダンに運ばれ、現地でテストし、難民や援助機関のフィードバックを得る予定だ。

難民キャンプにおける生活の質向上と環境負荷という2つの大きな問題を同時に解決する、素敵なデザイン研究の事例だと言える。

【参照サイト】Stormboard
【参照サイト】University of Bath
【参照サイト】Healthy Housing for the Displaced

(※写真:Healthy Housing for the Displacedより)