8万人のシリア難民に光を。ヨルダンの難民キャンプで世界最大の太陽光発電が稼働へ

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住んでいる場所にミサイルが飛び交うようになり、逃げるようにして国を離れた。国境をまたいで隣国に逃げ込み、保護を受けた。数ヶ月もしたら戻れるだろうと思った祖国にはもう5年も帰っていない。シリアとヨルダンの国境の近くにある難民キャンプには、こんな人が多数いるが、そんな彼らの生活に光が差し込んでいるようだ。

生きるために必要なものといえば何があるだろうか。食べ物、水、衣類、雨風をしのげる住まいなどがすぐに思い浮かぶが、私たちの生活を豊かにするあらゆるものの前提に、電気エネルギーが存在していることに自覚する機会はあまりない。私たちは照明、エアコン、冷蔵庫に洗濯機など電化製品に囲まれながら生活しているが、難民キャンプには安定的な電気供給がなされているとは限らない。そこでドイツ政府が乗り出したのは、極めて大規模な太陽光発電システムの導入だった。

8万人にも及ぶシリア難民のために、世界最大規模の太陽光発電システムが稼働を始めた。これにより、難民キャンプでもようやく扇風機、冷蔵庫、照明に携帯電話の充電などが安定的に行えるようになる。UNHCRは「4万ものソーラーパネルは年間1万3千トンもの炭素の排出を減らすだけに留まらず、毎年550万ドルもの電気代も抑えることができます。その浮いたお金は、さらなる難民支援のために使うことが出来るでしょう」と述べている。

難民キャンプでの生活が安定的になるといっても、それでもまだ1日に14時間しか電気は供給されないというのだから、元々の生活がいかに不安定であったかがよくわかる。シリア難民のアンワー・フセインは「電気は全ての人にとって重要なものであり、男性も子どもも女性もあらゆる人が毎日必要とするものなんです」とロイターの取材に答えている。私たちにとっては当たり前のことだが、電気というのは日常生活の全てに必要だと言っても良い。

最もクリーンでエコなエネルギーである太陽光発電が、世界の問題を直接的に解決する。環境にも優しく、社会的にも意義がある事業に1700万ドル以上という多額の投資を行ったドイツ政府の英断は尊敬に値する。

素晴らしい取り組みではあるが、依然として世界中の多くの難民は安定的な電気を得ることができない状態にある。今回の導入をモデルケースとして、今後さらに多くの難民キャンプにおいて太陽光発電を活用した電気供給が始まることを期待したい。

【参照サイト】Jordan switches on world’s largest solar plant in refugee camp