市民のゴミを3Dプリンターで公共のベンチに。オランダの循環型まちづくり

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オランダの首都アムステルダムに、家庭から出るプラスチックゴミをリサイクルし、3Dプリンターで印刷して作るベンチが登場した。

現代の都市生活において、プラスチックゴミは増加する一方だ。都市におけるゴミの25%はプラスチックゴミだという。アムステルダムでは住民1人が1年間で排出するプラスチックゴミは25kgにのぼる。

この現状に対し、オランダの会社The New Rawの研究プロジェクトPrint Your City!が、人々にリサイクルへの関心を呼び起こし、二酸化炭素排出量を削減し、都市におけるモノの循環システムを構築する目的で作成したのが、今回発表された3Dプリンターで印刷するベンチXXXだ。

Print Your City!はThe New RawがAectualとともに2016年に始めたプロジェクトで、アムステルダム研究所の都市循環プログラムの一環である。デルフト工科大学とゴミをエネルギーに変える世界最大の会社AEBアムステルダムがサポートしている。プロジェクト名であるPrint Your City!は、3Dプリンターを使って一般家庭から出るプラスチックゴミを公共物の原料にリサイクルすることに対して、人々の関心と行動を促すものだ。

Print Your City!は、原料循環がとても短く、ゴミも出ない生産プロセスを提案する。地域で排出されるプラスチックゴミからリサイクルされたプラスチックペレットや、リサイクル品を砕いた薄片を3D印刷して道路上の公共物に変えるのだ。そして、このベンチXXX自体も100%リサイクルできる。このプロジェクトでは、都市で排出されるプラチックゴミを原料としているため、都市の需要に対して長期に渡って対応していけるという利点も見逃せない。

このベンチXXXの重さは50㎏。アムステルダムの住民2人が1年間で出すプラスチックゴミで出来るのだ。長さは150㎝、幅は80㎝で2~4人座れる。プラスチックの循環に、人々がより近くなるように一緒に行動していくという思いがデザインされており、グラグラ揺れるのが特徴だ。

このベンチに腰掛ける人々は、うまくバランスが取れるように、そして、座り心地や揺れ心地が快適になるように、座るということに対して、いつもとは違うちょっとした注意を払わなくてはいけない。そして、それが人々の好奇心をひき、楽しい気持ちにさせてくれる。

さらに、ベンチの形、機能は簡単に調整でき、メッセージやロゴを入れることもできる。ベンチXXXは、市民にプラスチック収集への参加を促すだけでなく、市民がデザインプロセスにも参加していくことで、市民が本当に求めるものをつくっていくという目的があるのだ。

都市は、長期的なリサイクルプラスチックの運用に対し、大きな可能性を秘めている。今後このプロジェクトは、バス停、リサイクル瓶、公園など、都市生活を送る人のニーズに合わせて、より広範囲の都市建造物や公共スペースの開発に焦点を合わせていく予定だという。自分達が出したゴミが、実際に楽しみながら使える目に見える公共物になるPrint Your City!のアイデア。これからの発展がとても楽しみだ。まずは、ベンチXXXに座って、気持ちよく揺り動かしてみたい。

【参照サイト】Print Your City!
(※画像・情報提供:Print Your City!

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