コンテナで作られた、再利用可能なスタジアム。2022年カタールW杯

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サッカーの2018年ロシアワールドカップ(W杯)の組み合わせ決定に世界が湧き、日本でもくじ運の良さに喜びの声が聴かれるが、実はその先の2022年W杯の開催地もすでにカタールに決定しており、着々と準備が進んでいる。 

2022年のカタールW杯は苛烈な気候風土の中東地域で行われる初のW杯であり、FIFAの視察団が作成した招致立候補国に関する調査レポートでは最下位の評価だったカタールは、現在急ピッチでインフラ整備を行っている。

立候補のプレゼンテーションの段階から、スタジアム内をエアコンで空調し、選手や観客の身体的負担を軽減するという案が盛り込まれていた。その試合会場の1つであるRas Abu Aboudスタジアムのデザインが、驚くほど斬新な内容だということが明らかになった。

Supreme Committee for Delivery & Legacy より

ドーハの港湾地帯の更地に2020年に完成する予定の同スタジアムは4万人収容で、サステナブルな建設プロセスを意識し、大会終了後の活用も考慮して分解可能な形で設計されている。建設に用いられる組み立て式のコンテナは、各モジュールが観戦シート、売店、トイレ等の要素に分れているユニークなものだ。

これにより必要となる資材が大幅に減り、廃棄物やカーボンフットプリントも削減し、GSAS(Global Sustainability Assessment System)のサステナビリティ基準も満たしているという。

FIFAは2026年W杯の招致から「サステナビリティ」に関するガイドラインを定めるとしており、カタールはその流れを先取りした形だ。お祭りだからと言って何でも派手にすればよいという時代は終わり、大会終了後のレガシーも含めていかに持続可能なイベントを実現するかが問われるようになっているのだ。

豊富なエネルギー資源を背景に、世界経済やサッカー界に大きな影響力を及ぼしているカタール。同国代表はホスト国として予選なしでW杯本大会に出場することが決定しているが、代表資格のあるカタール国民は20数万人しかいないため、今から巨額を投じて若手の育成に注力している。

招致合戦でも、イスラム圏のアルジェリア系フランス人で選手・指導者として世界的に名高いジネディーヌ・ジダンを十数億円もの額で招致アンバサダーに任命し、派手に勝ち取った。

大会に向けたインフラ整備でもやはり巨額を投じているが、オイルの恵みにより所得税もないカタールが、本来なら痛くも痒くもないサステナビリティに配慮していることは、高く評価できる。

日本では、東京五輪に向けて、国家の威信をかけて新国立競技場の建設を進めているが、環境調和型スタジアムの提案もあったなか、世界的に著名な建築家ザハ・ハディッドの高額な案に一時決定し、資材の高騰などを受け、白紙撤回された経緯がある。

カズやラモス、そして日本代表がW杯に初出場できなかった「ドーハの悲劇」の舞台として記憶されるカタールで、スタジアムにまつわるもう一つのストーリーが展開している。

【参照サイト】SC launches first ever fully demountable FIFA World Cup™ stadium
【参照サイト】SC unveils spectacular design plans for Ras Abu Aboud Stadium

(※写真:Supreme Committee for Delivery & Legacy より引用)