【まとめ】美しいだけが芸術じゃない。アートで社会をよくするアイデア5選

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アートは、人間の感性に訴えかける表現だ。それは美しさで人々を魅了する作品だけを指すのではなく、西洋の伝統的な美術に則らないアウトサイダー・アートや廃物物を利用するジャンク・アートなど、決して多数派ではない視点から心を動かす作品も含まれる。

ところで、わたしたちは普段街中で見かけるようなアートの意味や目的を知っているだろうか。自己表現のためのアート。大切な人にささげるアート。そして、社会を変えるムーブメントとしてのアート。なにげなく見ている風景に、そんな深い意味が込められていたら?

IDEAS FOR GOODでは、とりわけ社会問題へのメッセージ性が強いアートを数多く取り上げてきた。ここでは、2017年に世界で誕生したクリエイティブなアートのアイデアを厳選し、紹介していきたい。

日常の見え方が変わる作品

01. ベルリンを街ごと印刷するプロジェクト「Raubdruckerin」

すぐそこにある美しさに気づいてほしい。ベルリン発、街を印刷するアートプロジェクト


ドイツ発のプロジェクト「Raubdruckerin」では、ベルリンのマンホールの蓋や街並みなどのグラフィックの模様を直接プリントしたアパレル製品を作っている。住んでいると見逃しがちな日常の風景や街の魅力を再発見してほしい、そんなメッセージが込められたプロジェクトだ。製品はすべてフェアトレードで、生産者の生活向上も実現している。

02. 失敗作ばかり展示する「The Museum of Failure」

失敗は成功の母。失敗作だけを集めたスウェーデンの美術館「The Museum of Failure」


世の中のすべての事柄において、大きな成功のためには無数の失敗作が生み出されている。スウェーデンの「The Museum of Failure」は、そんな60以上の失敗作を集めて展示している美術館だ。館内では作品の鑑賞説明はもちろん、失敗した事例をどのように次にいかすかを考えるワークショップが開催されている。

健康と安全のためにできること

03. 美しく汚れたアイスキャンディー「100%純汚水製氷所」

台湾の水質汚染を警告する。下水で作ったアイスキャンディー


水質汚染が深刻な台湾で、汚染水を凍らせて作られたアイスキャンディー「100%純汚水製氷所」が誕生した。店で販売されているようなパッケージの袋を破ると、中から汚染物質を含んだ色とりどりのアイスキャンディーが出てくる。思わず食べたくなるような美しさとは裏腹に、環境汚染への警鐘を鳴らしているのだ。

04. 目の錯覚で交通事故を減らす3Dトリックアート

トリックアートで交通事故を防ぐ。アイスランドに登場した、立体に見える横断歩道


アイスランドの小さな町で、トリックアートによって歩行者の安全を守る取り組みが行われている。信号のない横断歩道に白とグレーの3Dアートを描き、ドライバーからは白い立体のブロックが浮きあがっているように錯覚させることで、自動車の減速を促す仕組みだ。

多様性は、美しい

05. 国境のない壁「The Most Beautiful Wall」

移民の壁を、アートの壁に。多様性の美しさを描くウォールギャラリー「The Most Beautiful Wall」


「The Most Beautiful Wall」は、米大統領であるドナルド・トランプ氏の「アメリカとメキシコの国境に美しい壁を建てる」政策を逆手にとったアートプロジェクトだ。オンライン上のバーチャルウォールをさまざまな国からの移民が描く作品で彩ることによって、単一的ではない多様性の美しさを訴えている。

まとめ

世界中で、古くから芸術家によるムーブメントは起こってきた。多くの人の心を動かすのは、いつも単純で感覚的なコミュニケーションだ。

19世紀後半には日本の浮世絵をはじめとする「ジャポニスム」に影響を受ける芸術家が続出し、現代はアニメーションが世界中でみられているように、一度世に出せば言語の障壁をこえて世界に広がるアートはわたしたちが思っているよりもずっと多大な影響力をもっているかもしれない。

美術館に展示されている美しい絵画、そして普段見かけるデザインや建築をただの鑑賞物として見るか。それとも制作の背景や歴史、意図を読み取るか。捉え方によって、アートは何倍も興味深く思えてくるだろう。