薬が医者に情報を送る。服薬状況が分かるデジタル医薬品「Abilify MyCite」

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介護の現場に居合わせた経験がある方なら分かると思うが、病気によっては薬の服用し忘れが深刻な影響を及ぼす。認知症を患っている人の場合、薬を飲んでいないのに飲んだと言うこともあり、介護をする側は慎重に薬の管理を行う必要がある。重度の精神疾患の場合も、処方された通り定期的に薬を服用することが大切だ。

2017年11月、米食品医薬品局(FDA)が、服薬状況を体内のセンサー経由で把握できる抗精神病薬、Abilify MyCiteの製造販売を承認した。大塚製薬とアメリカのProteus Digital Health Inc.が共同開発したこの薬にはマグネシウム、シリコン、銅でできた極小センサーが入っており、体内に入ったあと患者の身体に貼り付けたパッチに情報を送る。そのパッチから医者及びスマートフォンアプリに情報を送り、服薬の確認をとれる。

体の中を撮影するカプセルなど、医療機器を体内に入れる方法は今までにも存在した。しかし、こういったモニタリング機能が付いた薬はAbilify MyCiteが初めてだ。

薬の飲み忘れを防止できれば、その効果は大きい。The New York Timesの記事によると、処方された通りに薬を服用しなければ、より病状が悪化して治療や入院が必要になり、年間100億ドルもの費用がかかると推定されている。Abilify MyCiteは精神疾患用の薬だが、その他の病気でもこういう薬があれば、病状の悪化を未然に防ぐのに一役買うだろう。

一方、このデジタル医薬品に対する懸念点もある。それは患者のプライバシーや生命倫理の問題だ。この薬を服用すれば体内のプライバシーをある程度は犠牲にすることになり、常に第三者から観察されていると不快に感じる人もいるだろう。だがこれもポジティブに捉えるなら、より密に医者と連絡が取れている状態とも言える。必要な情報が医者の元に送られれば、訪問看護師の負担が軽減するのではないかとの見方もある。

今まで人の手で管理していた事柄を、テクノロジーが代わりにやってくれるようになる。情報がデータ化されれば、そのデータをいかに安全に管理するかという課題も出てくるが、人が人の面倒を全面的に見るのは無理があるので、この流れは今後も推進されるべきだと思う。

【参照サイト】世界初のデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite®)」 米国承認
【参照サイト】FDA approves pill with sensor that digitally tracks if patients have ingested their medication
【参照サイト】Pros and cons of the new digital pills that connect to your smartphone