仏大統領に賛同したケ・ブランリ美術館。アフリカの文化遺産を返還へ

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2017年11月、フランスのマクロン大統領がブルキナファソでのスピーチで「フランスが所有するアフリカの遺産を5年以内に返還することを優先課題とする」と発言した。この発言に関する具体的なプランの有無は定かではなかったが、2018年に入り新たな展開が見られた。

アフリカの美術品を多く扱っていることで知られるパリのケ・ブランリ美術館がこの発言に賛同し、同館の最高責任者であるStéphane Martin氏が遺産の返還を「素晴らしい取り組み」と評した。フランスのみならずヨーロッパのキュレーターや美術館職員には、収蔵品を譲り渡すことはできないという考えを持っている人が多いため、今回のMartin氏の反応は予想外だ。

ケ・ブランリ美術館はサブサハラ・アフリカ地域の美術品を70,000点以上コレクションしており、そのうち1,000点をギャラリーに展示している。アフリカとの関わりが深そうな同館だが、Martin氏はその問題点を指摘する。

「アフリカ大陸から文化遺産が消えてしまった。2006年以降私たちが開催しているアフリカンアートの展示では、アフリカの美術館から何ひとつ作品を借りていない。この状況は変える必要がある」と語り、アフリカへの遺産の返還は文化プロジェクトの一環で取り組むのが良いのではないかと提案した。

たとえば、昨年アラブ首長国連邦にオープンしたルーヴル美術館の別館ルーヴル・アブダビは世界に大きな変革をもたらした。「ルーヴル・アブダビの例は、あのようなパートナーを組むことが可能だと示している。国境を越えた西洋の他の協力者たちと共に、アフリカに美術館を1つか2つ、いや3つでも建設できれば、私は作品の所有権を移転することも厭わない」とMartin氏は言う。

Martin氏はこの案について今すぐにでも取り組む気満々だ。「中国人が建てた美術館Museum of African Civilizations in Dakarは3年間ずっと空っぽだが、たとえばそことパートナーを組むのはどうだろうか。簡単ではないかもしれないが挑戦する価値はある」と意気込んでいる。

【参照サイト】Quai Branly-Jacques Chirac Museum in Paris is ready to return African art

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