植林がお金をつくる。毎年150億本の木が伐採される現代のビジネスチャンス

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WWF(世界自然保護資金)によると、世界の森林は1分ごとに約25ヘクタール失われているという。年間では150億本の木が失われ、その土地面積は13万平方キロ。ピンとこないかもしれないが、これはおよそ北海道と九州をあわせるのと同じくらいの広大な面積である。

世界的な人口増加に伴い、建築材料、薬、燃料などに用いられる木々の過剰な伐採が行われている。経済性を優先した森林破壊がこのまま進めば、草木や森に住む生き物たちは姿を消し、生態系の変化や気候変動にもつながるだろう。

そんな現状に朗報がある。主に慈善事業として行われていた植林が、お金を生み出す事業として確立されようとしているのだ。WRI(世界資源研究所)とTNC(ザ・ネイチャー・コンサーバンシー)が協力して発表した「The Business of Planting Trees: A Growing Investment Opportunity」という報告書には、荒廃した土地を蘇らせることは、環境の為だけではなく投資家や起業家にとってのビジネスチャンスにもなりうる、と記されている。

植林

報告書では、最新技術、消費財、プロジェクトマネジメント、商業植林の4つの側面から、世界中から注目される14の企業が行う植林活動を紹介している。たとえば、最新技術によって安価で効率的に広範囲の土地において植林を可能にする活動だ。IDEAS FOR GOODで以前紹介したドローンでの植林のような活動がいい例である。

また、ある企業は植林事業の将来性に目を付け、年間の収益をなんと10倍に増やすという目標を掲げて活動している。気候変動への対策をするパリ協定や、森林再生を目指すボン・チャレンジなどを行う世界各国の政府が、今後持続可能な社会の実現に向けて植林活動に投資するようになるかもしれない。

「植林事業の将来は希望に満ちている。」とWRIのマネージャーであるソフィア・ファルキ氏は言う。同氏は「最新技術が植林のコストを下げた。森を復活させた企業には報酬を与え、政府は所有する土地の改善を企業に委託するなど、植林ビジネスモデルの革新はこれから始まる。」と続けた。

植林と聞くとボランティアや企業のCSR活動として行われている印象が強い。「木を植えよう、地球の為に」という綺麗ごとだけでは、活動は持続・発展しない。しかし、植林がひとつのビジネスとして確立すれば、以前より技術も競争的になり積極的に森林破壊を食い止めようとする活動が行われるだろう。資金を上手く活用し、インフラ事業ビジネスとして植林がスタンダードになる未来はそう遠くない。

【参照サイト】WWFジャパン 森林の保全
【参照サイト】The Business of Planting Trees: A Growing Investment Opportunity

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