アメリカの太陽光発電所で「ハチミツ酒」が生まれる

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アメリカ北部の都市ミネアポリスの太陽光発電所で、ハチミツでできたシードル(*果実を発酵させた酒)が誕生した。アメリカ原産のリンゴ「ゴールデン・ラセット」と、イギリス原産の「キングストン・ブラック」、そして発電所のハチミツを組み合わせた、アルコ―ル度8%の飲料だ。ほのかなハチミツの甘みがあり、スパイスも効いている。

太陽光発電所で採れたハチミツで作られた世界初のこのシードルの名前は、“Solar Sweet Farm Cider”。アメリカで太陽光発電所を運営する電力会社IPS Solar社と、NPO法人のFresh Energy、養蜂業者とシードル醸造所のコラボレーションで完成した。

「太陽光発電所」と「ハチミツの酒」という一見関連性のなさそうなモノをつなげたのは、アメリカ国内の太陽光発電所にミツバチなどの花粉媒介者の住む場を提供することを推進するFresh Energyだ。

ハチミツシードル

(c) IPS Solar

太陽光発電所が生まれた経緯はこうだ。広大な土地を所有するワルツ一家は、数十年この土地を耕作していたが、世代交代にあたって、これからの土地利用について考えた。そして、他の農夫に土地を貸すよりも、太陽光発電所の土地として貸す方が高収益であることに気づいた。

また、土地を太陽光発電所として活用することが、土地そのものと周辺地域の環境に好影響をもたらすことも魅力的だと考えたという。具体的には、土地を休耕地にすることで、土壌の栄養分が高まることや、野草が茂るため土壌の浸食を防ぐこと、太陽光発電でクリーンエネルギーを生産すること、そして自然植物がハチや蝶など花粉媒介者の食料を作り出すことである。

近年、日本でもソーラーパネルを農地の上に設置して、発電しながら耕作を行うソーラーシェアリングが注目されており、認可件数が増加している。また、農作放棄地(農作物が1年以上栽培されておらず、その土地を所有する農家が数年の間に作付けする予定がない農地)の太陽光発電所としての利用も増えつつあり、農地と太陽光発電の組み合わせに大きな期待が寄せられている。

今回アメリカで生まれた、太陽光発電所のハチミツシードル。この素敵なドリンクの中に、土地利用、クリーンエネルギーの生産、異業種のコラボレーションといった、農家と国、そして私たちにとって重要なヒントが詰まっている。新しく、美味しく、画期的な試みだ。

【参照サイト】Minneapolis Debuts World´s First Solar Farm Cider
(※画像:IPS Solarより引用)

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