プロシューマーとは？

プロシューマーとはプロデューサー（生産者）とコンシューマー（消費者）からなる造語で、生産活動を行う消費者のことである。

インターネットの普及により、消費者が自分で求めるものを作り販売するプラットフォームができたことや、消費者が企業へ声を届けることが容易になったことなどから、プロシューマーが注目されている。

プロシューマーという言葉はアメリカの評論家、未来学者のアルビン・トフラーが1980年に自社の著書「第三の波」の中で、生産と消費とを一体化する新しいタイプの生活者のことを「プロシューマー」と名付けたことから始まった。このタイトルの第三の波とは、情報化の波のことである。この情報化の波により、インターネットやSNS上で、消費者が気軽に製造サイドや商品企画サイド、販売サイドに立つことが容易になった。

プロシューマーの種類

現代のプロシューマーには大きく2つのタイプが存在する。

1.企業の製品開発に参画する消費者

インターネットやSNSの普及で消費者の価値観も多様化し、企業は消費者のニーズを正確に把握することが難しくなっている。そこで消費者に製品開発に携わってもらうことで、消費者のニーズを満たそうとする企業が増えてきた。製品開発に参画してもらうことで、品質や機能面で消費者のニーズを満たすだけでなく、一緒に商品化のプロセスに関わった経験や体験を消費者に与えることができる。その結果、消費者を企業や商品のファンにすることが期待できるのだ。

実際に、経済産業省が2010年にまとめた「消費者購買動向調査～リーマンショック以降の日本の消費者の実像～」の調査（※）では、プロシューマー活用企業がもっと増えると良いと回答した消費者は42.7%で約半数であった。

企業の製品開発に参画するプロシューマーの事例

・マルイのシューズラボプラス
株式会社丸井グループはシューズラボプラスという、消費者とモノづくりを行うコミュニティを運営。消費者と座談会やモニター会を重ねたり、オンラインで誰もが参加できるアンケート、掲示板、ブログを運営したりして、消費者と共に商品開発を行っている。

・良品計画のモノづくりコミュニティ
無印良品を運営する株式会社良品計画のモノづくりコミュニティからは、消費者と共に開発したヒット商品が生まれている（現在は終了）。「体にフィットするソファ」は、コミュニティ内の消費者に提案を重ね、2013年に9万個、2014年に13万8000個も売れ、一時は品薄状態になるほどの人気となった。

2.自ら製品開発し、販売する消費者

消費者自らが製品やサービス開発を行い、それを自分の手で販売するプロシューマーがもう1つのタイプだ。例えば、オンラインフリマサービスのメルカリでの商品出品やスマートフォンのアプリ販売、LINEのスタンプ販売など多岐に渡る。

また、モノの販売だけでなく、サービスを提供するプロシューマーも増えている。例えば、Airbnbは家を貸し出したい消費者が、民泊サービスを提供（販売）できる仕組みだ。海外での配車サービスUberも車を使って時間を有効活用したい消費者が、車を手配したい人とマッチングし、送迎サービスを提供できる。

自ら製品開発し、販売するプロシューマーの事例

・ハンドメイド作品販売のプラットフォーム・minne
GMOペパボが展開するminneは、現在83万件を超える作家・ブランドによる1400万点以上のハンドメイド・手作り・クラフト作品が、販売・展示されているウェブサービスだ。このプラットフォームは、販売だけでなく、イベントの開催、書籍の発行、勉強会、メディアによる露出など、さまざまな方面でプロシューマーを支援している。

新型コロナウイルスの影響もあり、副業や多様な働き方が求められる現代。プロシューマーとして自由に自らが創りたいものを販売していく人も増えていくだろう。

また、企業と消費者の関係も多様化している。企業が商品やサービスを消費者に単に提供するだけでなく、一緒に共創する企業が、今後社会から求められる企業像のひとつになるのではないだろうか。

※ 消費者購買動向調査～リーマンショック以降の日本の消費者の実像～

【参照サイト】マルイの新しい「靴の総合コミュニティサイト」 「シューズLABO＋（プラス）」OPEN！（PR TIMES）
【参照サイト】無印良品『体にフィットするソファ』ヒットの理由（@DIME）
【参照サイト】[消費者意識7] プロシューマー（日本リサーチセンター）
【参照サイト】minne公式サイト（minne）

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