つながらない権利とは?
つながらない権利(right to disconnect)とは、勤務時間外に電子メールやチャットなどのデジタルツールによる業務上のコミュニケーションへの応答を拒否する労働者の権利のこと。
スマートフォンの普及などで、場所や時間を問わず常にオンラインでいることが可能になった。利便性向上の一方で、こうした変化は労働者に大きなプレッシャーとなっている。コロナ禍でテレワークが常態化する中で、この問題は深刻さを増しており、労働者の生活を守り、健康被害を防ぐための「つながらない権利」への関心が高まっている。
欧州で進む「つながらない権利」の法整備
「つながらない権利」が初めて認められたのは、2000年代のフランスだ。同国の最高裁判所は、2001年に「自宅で仕事をすることや、業務上の書類を持ち帰ることを拒否することは職務懈怠にあたらない」との判断を示したのに続き、2004年には「勤務時間外に携帯電話にかかってきた電話に応答しないことは労働者の義務違反ではない」とした。
その後、スマートフォンの普及などを踏まえ、フランスで「つながらない権利」を保護する法律が2017年に施行され、イタリア、スペイン、ポルトガル、ベルギーでも同様の法整備が行われた。こうしたEU各国の動きを受けて、欧州議会は2021年1月「つながらない権利」保護のための法整備を行うよう勧告する決議を採択し、現在も検討が行われている。
画一的なルールには懸念の声も
各国政府による法制化の動きと並行して、欧州域内の大企業を中心に「つながらない権利」を社内ルールとして定める例が増えている。その一方で、厳格で画一的な法規制は避けるべきとの考えもある。英サセックス大学で職業心理学を教えるEmma Russell氏は、CNBCの記事の中で「午後6時に電子メールを一斉に遮断することはすべての社員にとって最適な方法とは言えない。仕事の種類や責任の大きさの違いを考慮した柔軟なルールが必要」
と述べている。
国内ではテレワークでの長時間労働の一因として問題に
日本国内では、2021年3月に改訂されたテレワーク推進ガイドラインに、勤務時間外の業務メールの送信自粛や業務システムへのアクセス制限が、長時間労働対策の具体例として明記された。
2022年8月時点で「つながらない権利」を法制化する動きはみられないものの、企業は主体的に対策を講じることが重要だ。勤務時間外のメールへの対応を社員に求める行為はハラスメントと見なされる恐れもあり、また、社員が対応すればそれは時間外勤務手当の支給対象となる。企業は、IT技術進化のメリットを享受しつつ、いかに労働者の精神的・肉体的な被害を抑制するか、難しい舵取りが求められている。
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【参照サイト】Euro foundation
【参照サイト】CNBC The legal right to disconnect could become the norm in Europe.
【参照サイト】厚生労働省 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン








