ベターミートとは？

美味しさに加え、食品安全、家畜の健康（家畜衛生）、ストレスのない飼育環境（アニマルウェルフェア）、環境や生態系の保全、人の健康や労働者の安全対策など、様々なことに配慮され、飼養された肉のこと。

最近では、プラントベース（植物性）の代替肉なども身近なものになり、より良く、持続可能な食生活を送る意識が高まっている。そうしたなかで、畜産においてもどういった環境で育てられたものを食するかや、その適正な摂取量などを見直す動きが広がっている。

自然の中で育った野生動物のジビエなどもベターミートの一つとして考えられている。

工業的畜産がもたらす問題

工業的な畜産は、環境面や健康面において、さまざまな課題がある。ここでは、例を3つ挙げる。

環境負荷

現在、畜産は大規模な工業型のものが主流となっており、家畜の牧草地の確保や、飼料を生産する農地を作るために世界中で森林伐採が進んでいる。

また、大気中に含まれるメタンガスの20～30%は、牛や羊など畜産動物のゲップによるものとされている。このメタンガスは、CO2の何十倍もの温室効果をもたらす。

世界で発生する年間の温室効果ガスのうち約14.5%は、畜産に起因するものだと言われており、その量はすべての輸送手段の合計よりも多く、気候変動の主な原因のひとつとされている。

水質汚染

抗生物質やホルモン剤を投与された家畜の排泄物が、適切に処理されずに川や海を汚染していることも問題視されている。同様に、飼料として栽培される作物にも多くの農薬や化学肥料、除草剤などが含まれており、こちらも水質汚染の一因となっている。

健康被害

工業的で集約的な畜産では、動物達の病気を防ぐために過剰な抗生物質が投与されている。

これらが大量に投与されることによって、抗生物質は効果をなくし、細菌が耐性を持つようになってしまう。この耐性菌は家畜だけではなく、人間にも感染し伝染病を発生させる危険性もはらんでいる。

また、赤肉・加工肉を摂りすぎると、大腸ガンのリスクが高まると言われている。

ベターミートのための環境

これらの問題を解決するには、地球、動物、人間にとって優しくより良い飼育環境を作ることが求められる。

地球にとってより良い

化学薬品を用いない、または極力少なくすることや抗生物質を投与しないなど、オーガニックの環境で育てること。また、​​森林破壊地域からの輸入大豆飼料の使用を避けることなども、カーボンフットプリントの削減につながる。その他、牛のゲップから発生するメタンガスを削減する飼料の開発なども進められている。

動物にとってより良い

過密状態を避け、自然放牧やストレスのかからない環境で飼育したり、生産量や収量を上げるためだけにホルモン成長剤を使用することを避けたり、食性にあった飼料を与えたりするなど、アニマルウェルフェアの考えに基づき、動物が健康に幸せに過ごせることを大切にする。

人間にとってより良い

赤身の肉にはタンパク質やミネラル、鉄分などが含まれ、栄養価の高い食材である。一方で、過剰に摂取すると大腸ガンなどを引き起こす原因にもなりかねない。1日の目安としては70グラム程度が推奨されており、健康リスクを下げるためにも適切な摂取量を心がけたい。

また、工業的な環境で育てられた動物の肉より、オーガニックの環境で育てられた肉の方が栄養価が高く、「悪い」脂肪分も少ないことが分かっている。

まとめ

「食べることは生きること」という考え方がある。生きる喜びを感じることなく、工業製品のように生産され、ただ消費されるだけの不健康な動物たちを食し続けると、私たち人間の心と体も健やかでいることが難しくなってしまう。

生産者や消費者一人ひとりがそのことに気づき、毎日食べるものが、どのような牧場でどのように育てられているのかを理解し、より良い選択を重ねていくことが、世界を変える一歩につながる。幸せな循環社会を作るために、私たち一人ひとりが事実を知り、意識を変えていくことが必要ではないだろうか。

【参照サイト】Friends of the Earth | 16 things you need to know about your food and the environment
【参照サイト】Friends of the Earth Cyprus | LESS AND BETTER MEAT
【参照サイト】Making meat better | Something else to chew on …
【参照サイト】WIRED.jp | 畜産業界における抗生物質の乱用が、世界で「耐性菌の脅威」を生んでいる
【参照サイト】国際環境NGOグリーンピース | 牛のゲップだけじゃない。肉の大量消費が引き起こす10の環境問題まとめ

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