ジェニュインフルエンサーとは？

従来のインフルエンサーは、口コミに近い形で商品やサービスを紹介し、消費行動を促すのに対し、ジェニュインフルエンサーはバイアスのかかっていない知識や知恵を提供するインフルエンサーのことをいう。それぞれ、世間の行動に影響（インフルエンス）を与える人、という点では共通している。

ジェニュインフルエンサーの特徴

「リアル」に近い

これまでのインフルエンサーは憧れの対象となるようなライフスタイルを発信し、消費行動を促進する役割を担ってきた。しかし、新型コロナウイルスの影響により情勢が厳しくなる中、華やかな環境にいる存在よりも、自身と似た状況を分かち合い、実生活に役立つ情報を発信してくれる存在の方が重宝されるようになったといえる。

広告代理店のワンダーマン・トンプソンのデータによると、アメリカのZ世代のうち73％が「自分を理解してくれるブランド」、76％が「多様なアイデンティティや社会経験を受け入れてくれるブランド」を好ましいと感じているという。等身大の生活者に寄り添った情報発信が重要視されてきているのだ。

ライフスタイルの発信から啓蒙へ

近年、SNSを通して社会情勢の変化や社会問題を知る若年層が増えており、これまでより一層、バイアスのかかっていない質の高い情報発信が求められている。ジェニュインフルエンサーは、社会課題についてフォロワーを啓蒙したり、現状を切り抜けるための知恵を共有している点が特徴的だ。

英国大手の消費者トレンドフォーキャスターであるWGSNの経営戦略家・ナポリ氏はSNSについて“2020年は、インスピレーション受ける場所から、情報や教育を受ける場所に変化した”と述べた。このように、SNSに求められているものが年々変化することで、発信する側が提供するコンテンツも変化してきたといえるだろう。

ジェニュインフルエンサーの事例

海外ではすでにジェニュインフルエンサーが多く登場している。その例をいくつか紹介する。

フィンランド

新型コロナウイルスの流行を受け、公衆衛生にまつわる情報の拡散が急務となった際、フィンランド政府は1,500人のジェニュインフルエンサーを活用し、スピード感をもって情報を拡散させた。このように重要度の高い公衆衛生情報も、ジェニュインフルエンサーは信用される情報発信者として発信の一躍を担っているのだ。

P＆G

日用品メーカーのP＆Gは商品のプロモーションではなく、自主隔離やソーシャルディスタンスの取り方などの情報をジェニュインフルエンサーを通して発信した。

世界のジェニュインフルエンサー

デジタルマーケティング会社のRelevanceは、世界の注目すべきジェニュインフルエンサーを紹介している。いずれも普段はライフスタイルやファッションの発信をしているが、それ以外にも自身の経験を基に様々な知識や情報を発信している。

Amiee氏は、主にライフスタイルとファッションに焦点を当てたインフルエンサーである一方で、メンタルヘルスやセラピー療法についての情報を発信している。フォロワーにメンタルヘルスについてもっと話し、助けが必要なときにオープンになるよう促している。

Chriselle Lim氏は、韓国系アメリカ人のファッションスタイリスト、ライフスタイルと美容ブロガーである。その中で、母親として育児と仕事の両立を応援する情報を発信している。

英国ではじめてのトランスジェンダーモデルであるMunroe Bergdorf氏は、人種差別やLGBTQ＋に対する差別について情報や見解を発信している。

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生活者に寄り添った情報を、身近な立場から発信できるジェニュインフルエンサーの存在は、今後より注目を集めていくだろう。

【参照ページ】Meet the “genuinfluencers” who don’t want to sell you anything
【参照ページ】‘Being too aspirational is repellent now’ – the rise of the ‘genuinfluencers’
【参照ページ】Key Consumer Behaviour Trends for 2021 & Beyond
【参照ページ】Insight Genuinfluencers
【参照ページ】INFLUENCER MARKETING TRENDS: TOP 5 GENUINFLUENCERS TO FOLLOW IN 2022

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