ポリジェンダーとは？

ポリジェンダーとは、複数のジェンダーアイデンティティを持つ人々のことである。

トランスジェンダーのコミュニティで、自分たちのジェンダーアイデンティティが男性か女性の二択に適合しない人々から生まれた概念だ。1つ以上の複数性を同時期に持つ人もいれば、交互に持つ人もいる。

ジェンダーアイデンティティとは

まず、先ほどから述べているジェンダーアイデンティティについて、説明したい。ジェンダーアイデンティティとは、本人が自分自身の性別をどう認識するかを意味する。日本語では性自認 （性の自己認識）とも呼ばれる。

「身体の性」と「心の性」が一致しないトランスジェンダーや、既存の性別の枠組みにあてはまらない自己認識を持つクィアなど、多様なジェンダーアイデンティティが存在する。

ポリジェンダーとはこの性自認を複数持つ人のことを表す。

【関連記事】性の多様性とは？（What is Gender /Sexual diversity）

ポリセクシュアルとの違い

ポリジェンダーと同様にポリセクシュアルという概念も存在する。ポリセクシュアルは、性的指向（セクシュアルオリエンテーション）の種類の一つである。性的指向とは、恋愛対象または性的対象、あるいはその両方として、どの性に惹きつけられるか、魅力を感じるかということ。

つまり、ポリセクシュアルは複数のセクシュアリティを好きになることで、多性愛・複数性愛と呼ばれることもある。

複数のジェンダーアイデンティティを持つポリジェンダーであり、複数のセクシュアリティを好きになるポリセクシュアルの人もいれば、複数のジェンダーアイデンティティを持つポリジェンダーではあるが、一つのセクシュアリティだけを好きになる人もいる。

ジェンダーアイデンティティに基づいて、勝手にセクシュアリティも決めつけないように注意する必要がある。

バイジェンダーとの違い

複数の性を持っているポリジェンダーはバイジェンダーと同義と捉えられやすい。バイジェンダーは男性と女性の両方の認識を持つ。しかし、ポリジェンダーは2つだけでなく、明確な二区分に当てはまらないジェンダーなど複数の性の認識を持っている。

パンジェンダーとの違い

性科学者のKatie Lasson（ケイティ・ラッソン）によると、パンジェンダーとは違う種類の性自認を持つことが心地よいと感じる人のことだという。彼らは自分の性をトランスジェンダーやノンバイナリーなど、知られている全てのジェンダーアイデンティティを持っていると認識している。しかし、パンジェンダーのあり方も人によって様々だ。いろいろな性を行き来する人もいれば、常に全ての性が合わさって自分の性だと自認している人もいる。

このようにパンジェンダーは全ての性の認識を持つ人であるが、ポリジェンダーは全てではなく複数という違いがある。

性の多様化が重要視されてきている現代において、ジェンダーアイデンティティを表す定義も多様化している。しかしあくまでも、ジェンダーやセクシュアリティは、型にはめて、こうあるべきだと定義付けるものではなく、グラデーションのようにそれぞれの色がある。定義だけにとらわれず、ひとりひとりが自分の気持ちや体と気持ちよく向き合えるように、さまざまなカラーの性のあり方を認め合える社会を目指したい。

【参照サイト】多様な性について考えよう！〜性的指向と性自認〜（法務省）
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