環境や社会の課題に対して、私たちにできることは何か──そう考えたとき、「個人でできること」はあたかも容易に実践できる変化として捉えてしまう。しかし、身に染み付いている日常の形や、身近な暮らしのあり方を変えていくのは、決して一人ですぐにできることではない。
人口約370万人を抱える大消費地である神奈川県横浜市においても、これまでの産業や技術革新の枠組みを超え、文化レベルからより持続可能なライフスタイルに根ざした「循環都市(サーキュラーシティ)」への移行が強く求められている。では、この都市としての変化と、個人の具体的なライフスタイルの変化を繋ぐものとは、何なのだろう。
課題と真摯に向き合いつつも、持続可能な都市の未来を実現するうえで大きな原動力となるもの──それは、市民一人ひとりが持ちうる創造性(クリエイティビティ)や地域のつながり、そして人々にそれらに通ずる新たな視点をもたらす「芸術の力」ではないだろうか。
2026年8月24日(月)、横浜市保土ケ谷区にある相鉄本線・星川駅構内に、新たな拠点「Sta.R(ステーション・アール)」がオープンする。横浜市が推進する「創造都市(クリエイティブ・シティ)」政策の一環である創造界隈拠点として、都心臨海部以外では初となる取り組みだ。


このプロジェクトを手掛けるのは、IDEAS FOR GOODを運営するアーティクル株式会社と、クリエイター向けコワーキングスペース「PILE」を運営する合同会社Route Designによる協働組織体「Creative Circular City Collective」。横浜市、相模鉄道株式会社、株式会社相鉄アーバンクリエイツ、株式会社相鉄ビルマネジメントとの連携により展開される。
Sta.R(ステーション・アール)という拠点名には、駅というインフラの存在意義を根底から見つめ直す強い想いが込められている。これまで駅という場所は、効率よく目的の場所へ移動するための「利便性(Convenience)」の高い通過点として捉えられがちだった。しかしSta.Rは、循環の象徴となる「R(Respect・Repair・Remake・Recycleなど)」を通じて、駅の価値を通過点から、にぎわいのある目的地へと再定義することを試みている。
さらに、星川の「星(Star)」のように、まちに関わる市民一人ひとりが持つ創造力に光を照らす場所をつくりたいという理念を掲げる本プロジェクト。運営を担うアーティクル株式会社・代表取締役の加藤佑は、今回の開設にあたり、資源や人を大切にする循環型社会の実現には「物事の見方を変え、すでにあるもので何とか現実をよりよい方向へと変えていく一人ひとりの創造力」や「多様な人々が交わり、お互いの価値を再発見できるようなつながりが生まれる場所」、そして「経済合理性を超えて広がっていく文化の力」が重要であると語る。Sta.Rは、創造・循環・文化をコンセプトに、目指したい未来を具現化するクロスポイントなのだ。
館内には、訪れた人の創造性を引き出し、循環型のライフスタイルや視点を日常に呼び込むための3つの機能が常設される。
Material Library(マテリアルライブラリー)
地域から出た廃材や、バイオ由来・再生材などの循環型素材を集めた「素材の図書館」。工作やアップサイクル、自由研究などに活用できるユニークな素材が並ぶ。ごみと資源の境界線を曖昧にすることで、訪れる人の創作意欲を掻き立て、地域の中に新たな資源とワクワクの循環を生み出していく。
Я gallery(アールギャラリー)
循環をテーマにした芸術作品を鑑賞・発表できるギャラリー。名前にある逆さまの「R」である「Я」には、既存の価値観や社会の仕組み、素材との関係性をあらためて見つめ直し、新たな可能性を発見するという意味が込められている。実際の資源循環(Reuse, Remake, Recycleなど)の前提となる価値観や考え方を問い直すため、Rethink(捉え直す)、Research(調査する)、Respond(応答する)、React(反応する)、Reveal(明らかにする)といった視点を提示。アートやデザイン、リサーチを通じて、既存の概念を批評的に捉え直し、社会に新たな対話を生み出す。
Re:store(リストア)
横浜市内を中心に、様々な地域で作られた循環型のグッズやアップサイクルプロダクトが集まるショップ。循環型のライフスタイルを楽しく日常に取り入れられる創造的なアイテムを揃える。
合同会社Route Design代表の津田賀央氏は、隣駅の天王町駅側で同社が展開するコワーキングスペース「PILE」において横浜を中心とするアーティストやクリエイターが集い、創造的なプロジェクトや繋がりが育まれてきたことに触れつつ、星川駅のSta.R誕生によって「二つの駅をつなぐ線に、新たな創造の流れという新しい意味を添えることができた」と語る。そしてPILEとSta.Rが共に、「素材やプロダクト、アートとの出会いを通じて、日々の暮らしに新しい視点や発見をもたらす『創造の発着点』のような場へと育っていくことを目指していきたい」と語った。
Sta.Rの設計は株式会社オンデザインパートナーズ、施工を株式会社フクザワ、什器・空間デザインをクリエイティブ・ディレクターの松田裕多氏が担当。地域内外の多様な「サーキュラー・コラボレーション・パートナー」との協力のもと、環境負荷を低減した空間が実現した。
空間や什器には、横浜市の体育館床材アップサイクル「REYO」、株式会社清水商工による消防ホースのアップサイクルカーテン、株式会社湘南貿易によるペットボトルキャップのアップサイクル什器、武松商事株式会社のリユース什器などが採用されている。また、一般社団法人似て非worksのアップサイクルアート、Well99株式会社のリユース手すり・木材、自続可能な諏訪資源循環研究会のリユースガラス、ELAB/株式会社fogのリユース什器、ニッコー株式会社のデッドストックタイル、株式会社グリーンフラッグの再生繊維フェルトボードなど、各地の廃材やデッドストック品、リユース資材、DIYが組み合わされている。
設計を手掛けた株式会社オンデザインパートナーズ代表の西田司氏が「交流も、学びも、展示も、制作も、出会いも包含し、実装・実験する複合型施設」と話すように、都市と郊外を繋ぎ、循環型社会の新しいクリエイションを創発する実験場としての期待が込められている。
単にモノを通過・消費させるだけの存在から、思考を問い直し、人と自然、今と未来をつなぐ「目的地」へ。駅という日常のインフラの中に誕生したSta.Rは、循環型社会へ踏み出す私たちの最初の一歩をそっと照らしてくれるはずだ。
オープン記念イベント開催
8月29日(土)【Sta.R オープン記念ワークショップ】Hoshiten Urban Upcyclers – 廃材を活用したアップサイクル什器づくり –
オープンを記念して、施設で実際に使う什器を、地域の皆様と一緒に手づくりするワークショップを開催。使用するのは、横浜市内から集まった廃材やデッドストック品。捨てられるはずだった素材が、Sta.Rの空間の一部に。今回はアップサイクルスツールを制作予定。ものづくりを通じて循環型社会の一端を体感しながら、Sta.Rを一緒につくる体験ができる貴重な機会となるはずだ。
イベント概要
日時:8月29日(土)11:00〜16:00
人数:15名程度 ※ 11:00/12:30/14:00の3部制。各回約90分
対象:概ね小学生以上、保護者同伴など、大人・シニアの方の参加も大歓迎
参加費:500円
9月1日(火)【Sta.R オープン記念トークイベント】Creative Circular City – 循環と文化の交差点から、創造都市・横浜の未来を考える –
Sta.Rのオープンを記念したトークイベントを開催。当日は、Sta.R開設の背景や機能・施設のご紹介をした後に、スペシャル・ゲストをお招きし、創造、循環、文化・芸術をテーマとするトークセッションが行われる。また、当日ご参加いただく皆様同士の親睦を深めるための交流会も開催。是非お見逃しなく。
イベント概要
日時:9月1日(火)16:00-21:00(開場 15:30)
場所:Sta.R(ステーション・アール)
人数:50名
参加費:無料(パネルトークは事前申込制)
当日のスケジュール
16:00:オープニング・ご挨拶(横浜市/保土ケ谷区)
16:20:Sta.R の説明(Creative Circular City Collective)
16:40:第1部 パネルトーク「Creativity × Circularity 〜Sta.R はどのように循環を創造できるのか?〜」
登壇者:
・横浜市にぎわいスポーツ文化局
・西田 司氏(オンデザインパートナーズ・代表)
・津田 賀央氏(Route Design合同会社 代表・PILE -A collaborative studio- 運営代表)
・モデレーター:永野祐子(Artiql Inc.・Chief Design Officer)
17:40:休憩
18:00:第2部 パネルトーク「Creativity × Culture 〜Sta.R はどのように文化を創造できるのか?〜」
登壇者:
・安澤 太郎氏(一般社団法人Cultars 共同創業者・理事/こいのぼり株式会社 代表取締役)
・藤枝 慶氏(一般社団法人Cultars 共同創業者・代表理事/株式会社万流 代表取締役)
・加藤 佑(Artiql Inc. 代表)
・モデレーター:津田 賀央氏(Route Design合同会社 代表・PILE -A collaborative studio- 運営代表)
19:00:クロージング
19:10:写真撮影
19:15:第3部 交流タイム
20:00:終了
9月19日(土)Sta.R Fes & Я gallery 1st Exhibition

Mikiko Kamada氏
Я Gallery 初となるアーティスト作品の展覧会を開催。⼤阪・関⻄万博ではシグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」での展示も成功させたMikiko Kamadaが、GREEN EXPOを来年に控える中で展開する、物質循環のプロセスを表現した作品展”circle to circle”。EXPO to EXPO(大阪→横浜)の中継点となる2026年にオープンするЯ galleryの記念すべき初展示を飾る。
【参照サイト】横浜・保土ケ谷区に創造・循環・文化をコンセプトとする創造界隈拠点「Sta.R(ステーション・アール)」が誕生|PR TIMES
【参照サイト】Sta.R 公式サイト
【参照サイト】Sta.R 公式インスタグラム




