OECMとは?
OECMとは、Other effective area-based conservation measures(その他の効果的な地域をベースとする手段)の頭文字をとったもので、国立公園などの保護地区ではない地域のうち、生物多様性を効果的にかつ長期的に保全しうる地域のことをいう。
OECMという言葉が生まれたのは、名古屋で行われた生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)で、愛知目標11を作り上げたときだった。この会議内で、必ずしも自然を守るためではなくとも、人の適切な営みにより結果として自然が守られてきた場所の重要性を、日本が主催国として提起した。
COP10での話し合いにより、農業や林業など生産活動でも自然保護に貢献する可能性があるという見方を広め、保護地域以外での保全も目指されるようになった。
そして、2018年の生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)で、OECMは以下のように定義されることとなった。
「保護地域以外の地理的に画定された地域で、付随する生態系の機能とサービス、適切な場合、文化的・精神的・社会経済的・その他地域関連の価値とともに、生物多様性の域内保全にとって肯定的な長期の成果を継続的に達成する方法で統治・管理されているもの」
現在では、2030年までに生物多様性の損失を食い止め回復させるゴール30by30の実現を目指して、少なくとも30%の陸域及び海域、特に生物多様性にとって特に重要な地域の保全を進めている。
OECMのパターンと抱える課題
COP14で定められたOECMの定義に従うと、OECMは主に3つのパターンに分けられる。
例:先住民地域共同体の保全活用地など
例:里山(農業)、企業緑地(従業員の健康や騒音対策)など
例:茅場(茅を取るために火入れや刈り取りなどの管理がなされ、結果として希少植物などが生息)など
この3つのパターンは、自然保護への貢献度合いが一律とは限らない。このことは、保全地域を拡大しやすいという点において潜在的に多くの期待が寄せられる一方で、どのようにOECMを評価し、認定を進めていくかという点においては課題が残る。
またOECMの認定におけるインセンティブのあり方も、専門家から指摘されている。OECMに認定されたという証だけでは、なかなか認定地を増やし30by30を実現するのは難しい。
OECM認定への応募を活発にするためにも、どのようなメリット、インセンティブが付与できるか議論を進めることは必須である。そして、既存の制度や関係者との連携の可能性も引き続き検討していく必要がある。
OECMの現在
現在、日本の環境省では、OECMにも貢献できる公共事業を展開していくため、どのような取り組みが必要かを議論している。自然環境局関係の会議の場としては、「生物多様性民間参画ガイドラインの再改定」「ネイチャーポジティブ経済研究会」「ISO/TC331に対応するための国内審議委員会」と、大きく3つある。
それぞれの場には、専門家や関係省庁をはじめ、企業や金融機関、民間環境団体などさまざまなセクターに所属する組織の名前が並ぶ。
IUCN専門家グループ長ハリー・ジョナス氏が説明しているとおり、OECMの認定や30by30の実現により、多様なステイクホルダーが関わり合い、多くの分野で自然保護の場や担い手が現れてくるような変革が進んでいる。
地域の保全活動を行う民間団体や先住民地域共同体の取組などが、世界的な目標への貢献者として認められる潜在的な可能性なども語られるOECM。2030年に向けて、生物多様性の保全だけでなく、再生も図られるような社会づくりのため、OECMの今後に注目していきたい。
【関連記事】30by30とは・意味
【参考サイト】Introduction to Other Effective Area-based Conservation Measures(OECMs)
【参考サイト】Our work IUCN
【参考サイト】人と自然の共生地域OECM
【参考サイト】Other effective area-based conservation measures
【参考サイト】OECMs-保護区ともう一つの保全地域-国立環境研究所
関連記事は現在ありません。
別の記事もぜひご覧ください。







