デザイン・アクティビズムとは・意味

2024年4月
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デザイン・アクティビズムとは？

デザイン・アクティビズムとは、デザインの力を使って、環境や社会の問題解決のために働きかけることだ。ここでいう「デザイン」とは、単に装飾や見た目の話というよりは、まちづくりや政策、ビジネスなどの“設計”自体を指し、「アクティビズム」とは、社会のための明確な目的意識を持って、政治や人々の行動に変化をもたらすためのキャンペーン・行動を指す。

アメリカ・ワシントン大学は「デザイン・アクティビズムは、社会的および環境的進歩のためのツールとして、デザインの可能性を探るもの」だとプロジェクトのウェブサイトで書いている。

デザイン・アクティビズムの事例

デザイン・アクティビズムの例に、19世紀に都市環境を作り直す運動の中で生まれた「ランドスケープ・アーキテクチャー（landscape architecture）」がある。これは日本語で「（建物・街路などの配置を計画設計する）景観設計、風致的都市計画術」と訳される。

ランドスケープ・アーキテクチャーは、自然環境と人々の健康を向上させることを目的に、構築物（建築物や生活基盤）や自然環境の計画・設計、管理や育成に携わり、公園やキャンパス、街並み、遊歩道などを作り出すものだ。

また、デジタルプラットフォームの「Design Indaba」には、デザイン・アクティビズムがトピックとしてまとめられている。どれも、社会に貢献するようにデザインが使われたものだ。

たとえば、携帯端末「ドットプロット」は、乳がんで亡くなる人を減らすことを目標に、イギリスの国立大学ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの大学院生が開発した自宅でセルフチェックできる装置である。

都市の水路に浮く森のようなインスタレーション作品「Arbour days」は、建築家ステファノ・ボエリと世界的なアウトドアブランドのティンバーランドによって制作された。作品には610種類もの植物が用いられ、来場者が森に迷い込んだような感覚を覚える没入型の展示は、都市緑化の重要性を説く。

「ミスター・サンドマン」は、イギリスのブルネル大学の卒業生アーチー・リードがデザインした非電化住宅用のトイレである。アーチー・リードは、無水トイレを提供する企業ルーワットのインターンシップの間に、サハラ以南のアフリカの農村地域向けの無水トイレを思いついた。水道や電気が通っていないことが多い農村部の安全でない衛生環境を改善することを目指している。

まとめ

ワシントン大学が「デザイン・アクティビズムとは何か」というアンケートを学生や教員らに実施したところ、「社会変革のためのデザイン」「社会的なデザイン実践」「公益のためのデザイン」などの回答が票を集めた。

この際、このアンケートにおけるデザイン・アクティビズムの定義が社会変革にのみ言及していることに対し、気候変動などの環境・生態学的側面を追加すべきだという意見があった。十分なサービスを受けていない、弱い立場にある人々へのサービスに重きを置くべきだという意見もあがっている。

人々が求める変化や生活の質は単一なものではない。人々が求めるものが多様であれば、さまざまな意見や新たな課題が次々に生じることが考えられる。デザイン・アクティビズムの実践において大事なのは、人々の生活の質を向上させるという最終的な目標のために、課題を定義し、アイデアを出し、製品や環境、サービスを作る、という「デザイン思考」のサイクルも繰り返すことだ。

デジタル・アクティビストのUday Dandavate（ウダイ・ダンダベイト）はオープンプラットフォームMediumでこう書いている。