メタネーションとは

メタネーションとは、水素と二酸化炭素から合成メタンを人工的に合成すること。クリーンな原料をもとに、メタネーションによって生成されたメタンのことを「合成メタン」「カーボンニュートラルメタン」と呼ぶ。

メタンは天然ガスの主成分でもあり、主に都市ガス、化学品の原料として利用されている。1995年に日本が世界で初めてメタネーションによるカーボンニュートラルメタンの生成に成功した。

メタネーションの仕組み

合成メタンは、発電所や工場から排出された二酸化炭素（CO2）を再利用して作られる。そのため、メタンが利用（燃焼）されたときに排出されるCO2と、生成時に材料として回収されたCO2が同量になり、総合して二酸化炭素排出量が0になるという仕組みだ。

また、メタン生成時に使用する水素についても、再生可能エネルギー由来の電力によって電気分解された水素を使用するなど、環境へ配慮した方法で原料を賄うことができれば、クリーンなエネルギーを効率的に作り出すことができる。そのため、近年注目されている技術なのだ。

なぜメタネーションが必要なのか？

日本では、消費エネルギーのうち、工場で使う蒸気加熱や一般家庭・企業の設備などに使う給湯・暖房などの熱需要が全体の約6割を占めている。そのため、ここで消費しているエネルギーの改善を行うことが急務だ。

天然ガスは、そもそも従来使われている石油・石炭などの化石燃料に比べて二酸化炭素排出量が少なく、環境に配慮したエネルギー源だ。しかし、将来的に天然ガス自体も脱炭素化することができれば、日本政府が目指す2030年以降の脱炭素社会を効率的に実現することが可能になるといわれている。

また、メタネーションによって作られた合成メタンは、天然ガスで使われていたガスの導管などのインフラ設備をそのまま使用することができる。ガス導管は地下に埋設され、災害に強いインフラ設備のひとつだ。これは、ハード面を入れ替えることで生じる経済的なコストと環境への負担も削減することができ、どのような状況でも安定したエネルギー供給を可能にする利点もある。

メタネーションの今後

メタネーションは、2021年6月に政府が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、カーボンニュートラルを目指すための重要な分野のひとつとされている。同文書では、将来天然ガスを合成メタンに転換する際の導入量と供給コストの数値目標が定められている。

以下、具体的な目標の内容について、同文書を紹介している経済産業省資源エネルギー庁の記事から引用する。

年間導入量の目標

供給コストの目標

もしも2050年に、都市ガスで使用されるガスの90%がカーボンニュートラルメタンに置き換わった場合、年間約8000万トンのCO2削減効果が見込まれるという。これは、日本全体のCO2排出量のおよそ1割弱にあたる。

このように、メタネーションを使うことで脱炭素に向けて大きな一歩を踏み出せそうだが、実際に一般に使われるためには大きな課題がある。合成メタンを生成する工場の大規模化と、使用する水素と二酸化炭素を安価に調達することだ。この2つの課題解決に向けて、現在も多様なステークホルダーを交えて議論が行われている。

2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けて、合成メタンを社会全体で活用することが現実味を帯びている今、自分たちが使っているエネルギーそれ自体の環境への影響について知識を深めていくことは重要だろう。

【参照サイト】経済産業省資源エネルギー庁　スペシャルコンテンツ「ガスのカーボンニュートラル化を実現する「メタネーション」技術」
【参照サイト】経済産業省資源エネルギー庁　スペシャルコンテンツ　日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
【参照サイト】株式会社日立総合計画研究所　キーワード「メタネーション」
【参照サイト】令和3年6月18日　「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
【参照サイト】日本取引所グループ　LNG（プラッツJKM）先物
【参照サイト】一般社団法人日本ガス協会　メタネーションとは

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