レッドリストとは？

レッドリストとは、絶滅のおそれのある野生生物のリスト。国際的には、スイスに本部を置く国際自然保護連合（IUCN）が作成しており、その正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species」。日本国内でも、環境省や地方公共団体、NGOなどが独自に作成している。

レッドリストへの掲載は、捕獲規制等の直接的な法的効果を伴うものではないが、IUCNは特に、科学研究のガイドや多国間環境協定により採択される決定の参考情報、保全計画への情報提供、教育や普及活動など多様なシーンで活用されている。

IUCNのレッドリスト

IUCNのレッドリストは、86年に第一版、その後88年、90年、94年、96年、2000年、2004年に続版が刊行され、2006年以降は毎年、現在は年に2回ずつ更新されている。また、2000年以降はデータがデータベース化され、記載される情報も各段に増加した。現在は、その全てのデータをインターネット上で検索することができる。地域別、また哺乳類、海洋生物など特定のカテゴリ別のレポートも閲覧することができる。

調査により、IUCNはレッドリストに登録する種を年々増やしており、特に2017年から2020年にかけての進歩は大きく、43,662種以上がリストに追加された。現在レッドリストには142,500種以上が掲載されており、そのうち4万種類以上の生物に絶滅の危惧があるという。

IUCNでは、それぞれの専門分野の研究者グループが野生生物を調査した結果に基づき、野生生物1種ごとの絶滅危機の度合いを査定している。危機のランクは再評価のたびに変化し、個体数や生息域の減少が確認された種はより危機の高いランクに、逆に回復が認められた種については、危機ランクを下げるか、リストから外される。リストでは、それぞれの種が以下の9カテゴリーに分類されている。

未評価：調査が行われていない分類群
データ不足（DD）：十分な情報がなく、絶滅のリスクを評価できない分類群
低懸念（LC）：基準に照らし合わせ、深刻な危機、危機、危急、潤絶滅危惧のいずれの要件も満たしていない分類群
準絶滅危惧（NT）：基準に照らし合わせ、深刻な危機、危機、危急の要件を満たしていないが、近い将来これらの絶滅危惧種の要件を満たすと考えられている分類群
危急（VU）：野生で高い絶滅のリスクに直面していると考えられる分類群
危機（EN）：野生で非常に高い絶滅のリスクに直面していると考えられる分類群
深刻な危機（CR）：野生で極度に高い絶滅のリスクに直面していると考えられる分類群
野生絶滅絶（EW）：栽培、飼育下、あるいは過去の分布域の明らかに外側で野生化した個体群でのみ生存していることが知られている場合
絶滅（EX）：間違いなく最後の1個体が死亡した場合

なお、IUCNのメディアセンターでは、レポートの更新についてのニュースを随時閲覧することができる。

環境省のレッドリスト

環境省では、日本に生息する野生生物について、生物学的な観点から種の絶滅危険度を評価し、レッドリストとしてまとめている。平成24年度には第4次レッドリストが公表され、これまでに5回改訂が行われている。最新の改訂版は、令和元年度に公表されたレッドリスト2020で、74種についてのカテゴリーが見直された。ここでは、レッドリスト2019と比較して絶滅危惧種が40種増加し、合計3,716種となり、平成29年3月に取りまとめられた環境省版海洋生物レッドリストも合わせると、国の絶滅危惧種は合計で3,772種となった。

なお、環境省のレッドリストのカテゴリー分類は、上記のIUCNの方法を踏襲する形になっている。

まとめ

レッドリストでは、哺乳類や鳥類、両生類などに関しては比較的研究が進んでおり、多くの種の危機が明らかになっているが、分類群によってはまだ研究や調査が不十分で、危機の現状が分かっていないものも少なくないため、今後はそれらの種についての調査、研究も進むことを期待したい。

企業や自治体などが環境への影響を管理するための国際的開示システムプロジェクトCDPは、2022年以降の企業への気候変動質問書に、生物多様性についての質問を新たに設けるとしている。今後、生物多様性を考えるうえで必要となるレッドリストの重要性はますます高まっていきそうだ。

日本では、都道府県ごとにレッドリストも作られているため、自分の地域のレッドリストを確認してみてはいかがだろうか。

【参照サイト】レッドリスト（環境省）
【参照サイト】【哺乳類】環境省レッドリスト2020
【参照サイト】IUCN Red List
【参照サイト】IUCN’s media centre
【参照サイト】2017–2020 Report

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