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知的謙虚さとは・意味

本を読む男性

知的謙虚さとは?

知的謙虚さ(Intellectual Humility)とは、自身の信念や意見は間違っているかもしれないと考える自己認識のこと。知的謙虚さは、人がどのように考え、情報を処理するかという認知現象であり、個人的な性格特性のひとつである。

知的謙虚さの測定

知的謙虚さの測定方法には、本人の自己評価と会社の同僚などその人物をよく知る第三者による評価の二つがある。本人の自己認知が必ずしも第三者に見える行動として表れるとは限らないことから、本人の自己評価の方が信頼性が高いとされている。

また、知的謙虚さの測定においては、より一般的な傾向として理解すべきとされている。つまり、ほとんどの信念については知的謙虚さに付随する行動特性を見せる人物が、特定の信念に関してはそうした特性を発揮しないことは珍しくないからだ。

知的謙虚さが高い人・低い人の特徴

知的謙虚さが高い人、あるいは低い人はどのような特徴があるのであろうか。社会心理学者であるM.R.リアリー米デューク大学教授は自身の論文の中で、認知・動機・感情・行動の4つの側面から知的謙虚さの特徴を次のように述べている。

1. 認知的特徴

知的謙虚さが高い人は、信念や意見の基礎となる証拠や情報収集に制約があることに適切な注意を払うとされている。例えば、「新しいエビデンスが示された場合、自身の意見を再考する」や「自分が知らないことを知らないと認めることができる」との質問に対して「そう思う」と回答する傾向が強い。また、知的謙虚さのスコアは独断主義(ドグマティズム)のスコアと逆相関の関係にあり、新しい考えや経験に対する受容性とは正の相関があるとの研究結果がある。

2. 動機的特徴

知的謙虚さが高い人は、知的好奇心が強く、新たな考えを追求したり、自分に足りない知識を獲得することに積極的である。一方、知的謙虚さが低い人は不確実性や曖昧さへの許容度が低く、明確な答えを求める傾向があるとの研究結果がある。

3. 感情的特徴

知的謙虚さが低い人は、自分の考えと相容れない情報に接したときや、第三者から異議を唱えられたときに、知的謙虚さが高い人よりも感情的な反応を示す傾向がある。もちろんそうした場面においては、知的謙虚さが高い人も自分の誤りや無知、知的限界に落胆を覚えるが、それほど強い感情的な反応を示すことはない。

4. 行動的特徴

知的謙虚さの高い人の行動には二つの特徴がある。一つが、情報収集や考えをまとめるためにより多くの時間を費やすこと。もう一つが、自分とは異なる考えや意見に対してよりオープンな態度を示すことだ。逆に知的謙虚さの低い人は、自分とは異なる考えに接したときに、自分の考えの正当性を主張するために反論する傾向がある。

ビジネスにおける知的謙虚さの重要性

知的謙虚さは個々人が適切な意思決定を行ううえではもちろん、ビジネスにおいては組織のパフォーマンスを向上させるために重要な役割を果たすとされている。米国コーチング研究所(Institute of Coaching)の研究調査は、自分はすべてのことを知っているわけでも、万能でもないことを理解しているリーダーの下ではメンバーは自分たちの仕事の意義や目的を実感しやすく、チームの心理的安全性も高いことを示している。

VUCAと言われる不確実性の高い時代においては、多様な知識と経験を持つメンバーを集め、彼らに能力を発揮させることがリーダーの重要な役割である。そうした意味で、知的謙虚さはリーダーに不可欠な資質のひとつと言えよう。

【参照サイト】*Microsoft Word – Intellectual Humility-Leary-FullLength-Final.docx(templeton.org)
【参照サイト】Guess how a leader’s humility promotes positive outcomes | Institute of Coaching
【参照サイト】リーダーに必要な「知的謙虚さ」 レベルを測る4つの質問 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

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