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地域のあたたかな居場所を目指して。こども食堂を支援するむすびえ【高校生が出会ったサステナ企業・団体】

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Image via むすびえ

この記事を執筆したのは、広島の「高校生たち」である。

未来を見据えた高校2年生たちが、さまざまな生き方を知り価値観を広げ、自分らしさを問う探求学習「わたしプロジェクト」。その一環で生徒たちは2023年に広島から東京を訪ね、ワクワクするようなサステナブル事業に取り組む企業や団体に足を運び、自ら取材を行った。

高校生たちはそこで何を学び、何を感じたのだろうか。

※以下、広島の沼田高校2年の生徒による記事となります

私たちが今回訪れたのは……

私たちが訪問したのは、全国のこども食堂の活動を支援している、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)です。今回は、むすびえのプロジェクトリーダーである森谷哲さん、小島寛太さんにお話を伺いました。取材を通じて、私たちの「こども食堂」のイメージは大きく変化しました。

誰も取りこぼさない社会を目指して

Q.全国こども食堂支援センター・むすびえとは?

全国に広がるこども食堂の活動を、さまざまな形で支援しています。具体的には、各地域でこども食堂を支える地域ネットワーク団体がより活動しやすくなるための後押しを行うほか、こども食堂を応援してくれる企業・団体とこども食堂をつないだり、こども食堂の意義や実態を伝え、理解を広げる調査・研究を行ったりしています。ビジョンは、こども食堂の支援を通して、誰も取りこぼさない社会をつくることです。

こども食堂は2023年度に全国で9,132か所確認されており、地域の交流拠点になっています。こども食堂には、人とつながろうとする気持ちが込められています。また、全ての子どもが行きたいときに行けるように、子どもが一人でも歩いて行ける場所にあるといいなと考えています。

Q.森谷さんと小島さんは、どのような活動をされていますか?

(森谷哲さん)各都道府県のネットワーク団体の支援を行っており、地域向けの居場所を調査、コーディネートしています。また、総務省や商業施設でのイベントや、ボランティアで院内学級や支援学校を回っています。表現教育の機会をつくるココロエデュケーションラボも設立しました。モットーは「Done is better than Perfect」。完璧を目指すことより行動することの方が大切、という意味です。

(小島寛太さん)各地域で活動されているこども食堂のネットワーク団体を資金面と非資金面での支援をするプロジェクトや、地域内の様々な居場所同士を調査・コーディネートする事業の支援をしており、「ごきげんな地域づくり」に取り組んでいます。モットーは母の言葉である、「やさしさとは、本当の強さである」です。

小島寛太さん

こども食堂について語る小島寛太さん

境界線をもうけない、あたたかい居場所づくり

Q.こども食堂は、どんな人が利用できるのですか?

「貧困家庭の子どもを対象に食事を提供する」こども食堂もありますが、数で言えば少数派です。参加者に条件を付さず、どんな子どもでも参加できるこども食堂が約8割だったという調査結果もあります。例えば、カレーなどのスパイスを使う料理は、年代別に辛さを調節したり、自分でも調節したりできるようになっており、全ての料理を誰もが楽しめるようにするなど、さまざまな工夫をしているこども食堂さんも多くあると聞きます。一部、障がい者や不登校の学生等に利用を限定している場所もあります。

Q.こども食堂を支援するうえで大切にしていることはなんですか?

「これがこども食堂」という決まりはないため、それぞれの運営者の方の考え方を尊重することを大切にしています。

例えば、コロナ禍以前、こども食堂では基本的には食堂で子どもたちが会食する形式をとっていました。しかし、コロナ禍では感染拡大防止のために食材やお弁当を子どもたちに持って帰ってもらう形式に変更したこども食堂も多くありました。すると、会食スタイルでは気乗りしなかった方が利用するようになったり、食材配布によって家庭を助けられた方がいたりと、こども食堂の新たな可能性が見えてきました。そのため、コロナ禍から脱却しつつある今、従来の会食スタイルに戻すべきかテイクアウト方式を残すかはそれぞれのこども食堂運営者の方のお考えを尊重しています。運営者の方の思いが詰まった場所、それがこども食堂です。

Image via むすびえ

こども食堂は、みんなのフードコートのような場所

取材を終えて、こども食堂のイメージが大きく変わりました。今までは、こども食堂は「十分な食べ物がない子どもたちだけが集まる暗い場所」と思っていましたが、話を聞いて、さまざまな世代の人たちが交流するあたたかい場所なのだと知りました。

こども食堂は、防災訓練の際に中心となったり、地域に住むさまざまな世代の人が、料理を作る側、あるいは食べる側として、集まって交流したりするそうです。また、取材のなかでは、「フードコート+エッセンス≒こども食堂」というワードが出てきました。これは、こども食堂は私たちが普段利用するフードコートと同じようになじみ深い存在で、お話にあったようなプラスアルファの価値が加わることで、みんなが楽しく食事をする明るい場所になるということなのではないかと考えました。

また、森谷さんの「全国の小学校から歩いて行ける距離にこども食堂がある状態を目指したい」という夢に、強く惹かれました。これは、どの子の通学圏内にもこども食堂を作るということです。こども食堂は2023年度に全国で9,132か所確認されています。一方で小学校の数(公立+義務教育学校)は18,870校と、その数には大きな開きがあります。しかし森谷さんは、「いつか、こども食堂を子どもたちの当たり前のものにしたい」と笑顔で語っていました。その姿が輝いていて、とても印象に残りました。

森谷哲さん

こども食堂について語る森谷哲さん

また、小島さんの「やさしさとは、本当の強さである」という信念が、進んで子どもたちの支えになろうとするむすびえの活動を支えていると感じました。

多様な考え方を尊重し、みんなで成長したい

取材を通して、自ら興味を持って現場に行ったり、調べたりして、偏見を持たずに生きていきたいと感じました。小島さんと森谷さんは「今日知ったことを友人や家族に伝えてほしい」と話していました。それは、こども食堂に対して持たれている「貧しい」「かわいそう」「暗い場所」というイメージを払拭するために必要なことだと思います。そのため、今回学んだ、こども食堂の真の姿である「フードコートのように、誰でも行くことができるあたたかい場所」ということを、家族や友人に伝えていきたいと思います。学んだことを伝えることを通して同じ想いを広げ、物事を変えていくきっかけにできればと思います。

また、ひとりでできることには限りがあり、周りと知識や想いを共有することが大切なのだと気づきました。これからを生きていくなかで、みんなと新しい知識や想いを共有していきたいです。

例えば、勉強していてわからないことがあった時に、先生に聞いたり自分から調べたりするということから始めていきたいです。また、それを調べることができる環境や、「わからない」を素直に聞ける人の存在も重要だと思います。例えば、質問した人を馬鹿にしたり、わからないということを否定したりせずに、周りの人がその人の意見を尊重し、受け止める必要があると思います。そのようなサポートができる人材になれるように、人の意見をすぐに否定せず、さまざまな考え方があるということを知り、わからないことを周りの人たちと協力して解決できるようになっていきたいと思います。

Image via むすびえ

執筆者:沼田高校2年生(西本愛叶、今川里菜、中村都古、野村美奈、河野純伶、川口結衣、田辺羽琉、手島悠、鬼塚蓮温)

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