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プラスチック新法の施行後、大手コンビニ5社の動きは?

プラスチック

2022年4月1日、脱プラスチック促進に向けた、「プラスチック資源循環促進法(通称:プラ新法)」が施行された。小売店や宿泊施設といった事業者は、さまざまな対応案を策定し、順次実施することとなる。

そこで本記事では、私たちにとって最も身近な小売業者「コンビニ」の対応状況についてまとめてみた。代表的なコンビニ大手5社(セブン-イレブンジャパン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、デイリーヤマザキ)に直接取材した内容だ。

プラスチック資源循環促進法とは

コンビニ各社の対応を見る前に、本記事の背景となった「プラスチック資源循環促進法」についておさらいしておこう。

プラスチック資源循環促進法、通称「プラ新法」とは、プラスチックごみの削減とリサイクルの促進を目的とする新たな法律だ。2021年6月に制定され、2022年4月1日から施行された。

▶︎プラスチック資源循環促進法、何が変わる?わかりやすく解説

今回最も大きく影響するのは、プラ新法概要の2番目にある「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」である。これにより、コンビニやスーパー、ホテルといった提供事業者はプラスチック使用製品廃棄物の排出抑制のため、さまざまな取り組みを実施していくこととなった。

コンビニで対象となるプラスチック製品

「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」にあたり、提供事業者は「対象製品」と「対象業種」で大きく2つに分けられている。

コンビニは、以下の4つの製品が該当し、それぞれ対応しなければならない。

  • フォーク
  • スプーン
  • マドラー
  • 飲料用ストロー

事業者向けの法案と思われがちだが、該当製品を見ると、私たち利用者にも大きく影響するものばかりだ。事前に変更点などを理解し、いつでも対応できる用意をしておくといいだろう。

プラ新法に向けた大手コンビニ5社の対応まとめ

ここからは、具体的にコンビニ各社の対応を見ていこう。紹介するのは、以下の5社だ。

  • セブン-イレブンジャパン
  • ローソン
  • ファミリーマート
  • ミニストップ
  • デイリーヤマザキ

各社とも、内容がそれぞれ異なる。日常で最も利用するコンビニはしっかりとチェックしておきたいところだ。

セブン-イレブンジャパン

「プラ新法」セブンイレブン

セブンイレブンは、4月1日よりバイオマス30%配合のスプーンとフォークを導入する。首都圏500店舗を皮切りに、2022年夏までに全国に拡大予定とのこと。

ストローについては3月末時点で全て生分解性素材「Green Planet™」、紙製(FSC認証)素材のストローに変更済、マドラーは一部店舗で木製を採用しており、順次拡大予定とのこと。

スプーン 植物由来素材を30%配合した環境配慮型に変更
フォーク 植物由来素材を30%配合した環境配慮型に変更
ストロー 2022年3月末時点で全て生分解性素材「Green Planet™」、紙製(FSC認証)素材のストローに変更済
マドラー 木製マドラーを一部店舗で導入、順次拡大予定

カトラリー製品への対応は、各加盟店で選択する方式を採用し、有料化などは考えていないと回答しています。また、カトラリーを受け取らなかった顧客へのポイント還元や、将来的なカトラリー配布終了などは予定していない。

セブンイレブンはこのほかに、以下のような取り組みを実施している。

環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」

「GREEN CHALLENGE 2050」という環境宣言を策定しており、プラスチック製レジ袋の使用量を2030年までにゼロすることや、オリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する容器を環境配慮型素材(バイオマス・リサイクル素材・紙など)に変更することなどを目標としている。

2030年度までに50%使用、2050年までに100%使用を目指し、手巻きおにぎりのフィルム薄肉化や弁当容器の紙化、惣菜フタのトップシール化などが取り組み例として挙げられる。

ローソン

「プラ新法」ローソン対応まとめ

ローソンは、プラスチックを軽減した穴開きスプーンとフォークを4月1日より東京都内の直営店3店舗で導入開始。2022年上期中の全店導入を目指す。木製スプーンの導入も決まっており、同様に4月1日より関東と近畿地区の希望店舗から導入開始と回答している。

スプーン 約14%軽減した軽量化プラスチック製、または木製
フォーク 約10%軽減した軽量化プラスチック製
デザートスプーン 約4%軽減した軽量化プラスチック製
ストロー 不明
マドラー 不明

ファミリーマート

「プラ新法」ファミマ対応まとめ

ファミリーマートは3月15日から、本体軽量化やバイオマス5%配合といった、従来のカトラリー類と100%植物由来原料の生分解性プラスチック製カトラリーを各店舗の判断で選択する方式を採用している。一部地域を除く、約7,300店舗で対応中だ。ファミリーマートはこのほかに、以下のような取り組みを実施している。

スプーン 生分解性プラスチック製スプーンと、持ち手の部分に穴の開いた軽量化スプーンを店舗側で選択
フォーク 生分解性プラスチック製スフォークと、持ち手の部分に穴の開いた軽量化フォークを店舗側で選択
ストロー 生分解性プラスチック製ストローと、バイオマス5%配合したストローを店舗側で選択
マドラー 本体は木製、外装の袋は紙製に変更(ファミマカフェ用のマドラー)
カトラリー集約化

3月10日から約1ヶ月間、東京都内10店舗で店頭配布しているフォークと先割れスプーンの配布を休止し、カトラリーの取り扱い集約化を実施。竹製のマイカトラリーセットを販売し、マイカトラリー利用促進に取り組んでいる。

各店舗での啓発活動

3月後半から4月にかけて順次、レジカウンター及び店頭での声掛けや「プラスチック削減のために、スプーン、ストロー等がご不要な方はお申しつけください」メッセージ入りのレジ袋配布といった啓発活動を実施している。

ミニストップ

ミニストップは4月1日より、関東エリアの直営店46店にて、素材変更したカトラリーの配布実験を実施。スプーンとフォークはバイオマスプラスチック配合の環境配慮型に変更し、ストローは紙製に切り替えるとのこと。

スプーン バイオマスプラスチック配合
フォーク バイオマスプラスチック配合
ストロー 紙製
マドラー 不明

ミニストップはこのほかに、以下のような取り組みを実施している。

店内やレジ接客時の声掛け・啓発活動

レジカウンターでの積極的なカトラリー有無の声掛けや、プラスチック削減啓発販促物の掲示、店内での放送を実施し、プラ新法対応への積極的な啓発活動を実施するとしている。また、買い物時にはレジ画面でCM動画を放送し不要なプラスチック用品への辞退協力も呼びかけていくとのこと。

デイリーヤマザキ

デイリーヤマザキは4月1日から、従来のスプーンとフォークを薄肉軽量化した規格への切り替えを実施している。デザートスプーンやマドラー、ストローについても順次、軽量化や木製への変更を予定とのこと。

変更されるスプーンやフォークは従来品と同価格のため、店舗側や顧客への負担(有料化など)はなく、ポイント還元などの予定もないと回答。一方、コスト面での課題があるとして、木製や紙製の「脱プラスチック製」への切り替えは慎重な姿勢だ。

デイリーヤマザキはこのほかに、以下のような取り組みを実施している。

スプーン 薄肉軽量化したものに変更
フォーク 薄肉軽量化したものに変更
ストロー 軽量化や木製に変更
マドラー 軽量化や木製に変更
バイオマス原料を使用したレジ袋や店頭での啓発活動

レジ袋はバイオマス原料を使ったものを使用し、接客時の確認・声掛けを徹底。各種カトラリーも同様に、有無の確認や箸などの代替品を希望した場合への対応などを行っていくとのこと。

プラスチック用品の辞退にご協力いただく旨を記載したポスターを掲示し、ホームページ、レジ客面画面で啓発を続けるほか、繰り返し利用可能なカトラリーの導入も検討中だ。また、4月18日からは、サラダ容器の蓋をトップシールに順次変更していくそう。

利用者への大きな負担はないが、協力する姿勢も必要

4月1日からのコンビニ大手5社の対応を紹介した。比較してみると、利用者にとっては大きな変更はないものの、少しずつ「脱プラスチック」に向けて対応が進んでいる印象を受ける。

各社からの発表の中には、「脱プラスチックの実現には利用する側の協力も不可欠」との声もあった。新しいカトラリーへの慣れや、必要ない場合の辞退表明など、一人ひとりができることから実践していきたい。

※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「Life Hugger」の記事を一部改変したものとなります。

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