私たちが生きるために欠かせない、食。それは、毎日の営みを支えるインフラでもあり、日々を豊かに彩る存在でもあります。
そんな食品の価格が、近年大幅に上がり続けています。2025年6月の消費者物価指数によれば、お米やパンを含む穀類は前年同月比で30%近く価格が高騰しており、このほか、肉類、卵、野菜など、生活に身近な食材も同様に値段が上がっています。こうした状況に、ついつい食品を「高いなあ」と思ってしまう人は少なくないでしょう。
しかしそんな今だからこそ、私たちは食の「本当の価値」を改めて問い直してみる必要があるのではないでしょうか。今回IDEAS FOR GOODは、身近な食材の生産者や流通の現場を訪ね、食の価値と主体的に向き合うための体験シリーズイベントを企画しました。
第三回目に訪れるのは、採卵鶏を飼育する様子を間近で観察することができる鶏舎「Unshelled(アンシェルド)」です。
参考:アニマルウェルフェアへの対話を始める場に。飼育現場を見せる“開かれた”鶏舎「Unshelled」
「Unshelled(アンシェルド)」は、アニマルウェルフェア(動物福祉)の研究や普及を目的に、2025年1月に東京農工大学・府中キャンパス内にオープンした動物福祉モデル鶏舎です。その特徴は、現在世界で主流とされる4種類の飼育方法を見られること。そうした体験の場と動物行動学の専門的な知見を活かして、アニマルウェルフェアや食の生産に関する建設的な議論を始める対話の場となっています。
当日は、Unshelledで飼育する採卵鶏と間近でふれあい、アニマルウェルフェアや動物行動学の専門家である新村毅先生の解説を交えながら、動物の心身の健康に配慮した飼育方法とそうでない飼育方法との間で、鶏の行動にどのような違いが出るのかを体感します。さらに、Unshelledの隣にあり、鶏の餌としている昆虫が飼育される現場も見学し、循環型の鶏舎運営のあり方や栄養の観点も交えながら、鶏も人間も幸せになる飼育の卵の作り方・食べ方を考えていきます。
身近な食材でありながら、その生産現場を見る機会はほとんどない、卵。パッケージに詰められお店に並んだ状態からは感じにくい、生きた動物から食べ物をいただくという感覚を、体験を通して感じてみませんか。
第3回 イベント概要
日時:11月15日(土)17:30~19:30
場所:Unshelled、昆虫工場(東京農工大学・府中キャンパス内)
参加費:5,500円
定員:12名
スピーカー:新村 毅さん、三浦友見さん
お申し込み:peatixよりお申し込みください。
※ 現地集合・現地解散となります。鶏舎の位置は「こちらのリンク」よりご確認ください。(鶏舎は2025年1月竣工のため、Google Map上では更地になっております。)
※小学生以下のお子様は無料でお越しいただけます。お越しいただく場合は、申し込みフォームに一言ご記載ください。
※前回までの体験シリーズイベントに参加された方は、peatix経由でお送りしているディスカウントコードをご使用いただけます。(【全6回体験シリーズイベント Vol.3 ディスカウントコードのお知らせ】をご覧ください。)
※同日には、東京農工大学の学園祭(農工祭)も開催されています。イベントの前にも、食をテーマとした展示や屋台をぜひお楽しみください。
当日の流れ
17:15:受付開始
17:30:オープニング・アイスブレイク
17:45:ニワトリの行動を見てみよう!アニマルウェルフェア ミニ実習(Unshelled内の見学室)
18:10:昆虫飼料と循環型システム紹介(東京農工大学教授・鈴木丈詞先生)
18:30:卵の食べ比べ体験
18:40:感想共有と質疑応答
18:55:クロージング
〜19:30:ネットワーキング
※ 卵アレルギーのある方は卵の食べ比べ体験はお控えください。
※ Unshelled内の見学室での実習は、感染症予防対策から、過去一週間に海外渡航歴がある場合、体験をお控えいただきます。
ゲストスピーカーのご紹介
新村 毅 さん(東京農工大学大学院 農学研究院 生物生産科学部門 教授)
動物に返っていくような何かをしたいという想いとビジョンを共有し、共創できるLivelyに参加。学生時代より、一貫してアニマルウェルフェア、動物行動学の研究を推進。博士号を取得し、現在は研究グループを主宰。世界は1つであり、動物と人と環境のウェルフェアも一体的なものであるという「One Welfare」の実現に向けて邁進中。動物と対話するかのように、それを実現できたらと妄想中。Livelyでは、科学者の立場から、動物に関するプロジェクトに関与する。
三浦友見さん(Lively合同会社 Co-Founder & Co-CEO)
幼少期から多様な生物の世界に関心があり、動物たちに優しさあふれる風景を創るためにLivelyを共同創業。大学卒業後、多種多様な価値観を尊重するグローバルな環境を求め、欧米・シンガポール系の国際物流・IT企業の日本支社にて、国際輸送のサービス開発・ネットワーク構築・運用に従事。MBA、地球環境学修士(在学中)。Livelyでは、環境・生物多様性領域のコンサルティングとJoint Research、ソーシャルエンゲージメントを担う。
こんな方におすすめ
- アニマルウェルフェアに関心があり、専門的な知見を持つ人から話を聞きたいと感じている方
- 普段食べる身近な食べ物の生産の現場に関心がある方
- 安いものを選びがちな社会の風潮に疑問を感じている人
- 多様な価値観に触れ、「食との向き合い方」を深めていきたい方
- 食を通じて、自分自身や社会、地球との関係性をより豊かにしていきたい方
- 実践の裏側にあるリアルな葛藤や課題を通し、主体的に学ぶことに興味がある方
- 「ソリューション」ではなく、自分の中に残り続ける「問い」を求めている方
- 食にかかわる実践者になるためのヒントが欲しい方
- このほか、食べることがお好きな方などどなたでも大歓迎です!
今後のプログラム(Vol.3以降)
Vol.3 「卵とアニマルウェルフェア」
訪問先:Unshelled(東京農工大学)、ほか東京農工大学内の施設|11月15日(土)18:00〜20:00|参加費 一般チケット5,500円/IDEAS FOR GOOD応援!チケット6,000円
Vol.4「生き物との関係性を編み直す。生産現場で探る、豊かな食」
訪問先:米農家・牧場・ジビエ猟師・野菜農家など(1泊2日のフィールドツアー・千葉県御宿町近郊)|11月22-23日(土・日)|参加費 未定
Vol.5 「発酵と醤油」
訪問先:有田屋(群馬県安中市)|12月上旬|参加費 未定
Vol.6「誰と、何を、どう食べる?食べながら思い描く、未来の食卓」
訪問先:タノバ食堂(大澤山 龍雲寺)|12月21日(日)15:00〜18:00予定)|参加費:自由価格制
※各回10〜12名の少人数制。単発参加・連続参加のどちらとも大歓迎です。
※各回の日程・お申し込みは、順次このページで公開していきます。
イベントシリーズについて
今回は、普段IDEAS FOR GOODの記事で発信しているような「ソーシャルグッド」な取り組みを情報として聞くだけではありません。世間的に“良い”とされるモノを生み出すための葛藤や、それを選ぶ難しさ、より良いを追求したいけれどできない背景にあるもの……生産の現場で人々が日々抱える戸惑いや本音、ジレンマといった「リアルな声」にも耳を傾けていきます。
各回では、訪問先での体験やインプットを受けてそれぞれがどう感じたか、目の前の食の価値をどう定義するかといった問いについて、対話やワークショップを行う時間も設けます。IDEAS FOR GOOD編集部メンバーが世界中のアイデアをリサーチするなかで得た食にまつわるさまざまな情報、生産者の声、そして参加者の皆さんの声……。唯一無二の答えはありませんが、参加する人それぞれが言葉を交わし合うことで、新たな気づき、さらなる問いが生まれるのではないかと私たちは考えています。
目の前の一皿が、どんな土で育ち、誰の手に支えられ、どんな旅をしてここにやって来たのか。その物語を紐解きながら、私たちの「いただきます」を見つめ直す時間を、一緒に過ごしませんか。
共に旅する案内人のご紹介
相馬素美(そうま もとみ):IDEAS FOR GOOD編集部
相馬素美(そうま・もとみ)1996年横浜出身。東京音楽大学器楽専攻鍵盤楽器(ピアノ科)、同大学院伴奏研究領域にて研鑽を積む。2020年にハーチ株式会社に入社、IDEAS FOR GOOD、Circular Yokohama等にてサステナビリティに関する幅広いトピックの取材・執筆のほか、企業向けのサステナビリティ研修、展示、地域イベント、ワークショップ等の企画運営を担当。2023年、半年間アイルランドに滞在し、語学研鑽や取材活動を行う。2025年5月にUnshelledを取材し、記事を執筆。
伊藤智子(いとう ともこ):IDEAS FOR GOOD編集部
地元である大阪の都市部を離れ、数年前に千葉の里山に移住。生態系の一部としての人間のあり方を模索すべく、山の中の古民家でシェアハウス生活を行う。自分が口にするものの生産現場を知るため、魚、肉、米、野菜、牛乳といった生産の最前線で農家の手伝いをしながら、カフェの運営やまちのにぎわいを取り戻すべく地域の活動にも取り組んでいる。最近のテーマは、目の前のものをじっくり感じ、味わい尽くすこと。曖昧なもの、わかりにくいものこそ大事にしたい。
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