スロージャーナリズムとは?
スロージャーナリズムは、情報が社会にとって価値のあるものかどうかを吟味し、時間をかけてニュースを掘り下げ、報道するスタイルのジャーナリズムのこと。「とにかく早い」「センセーショナルな情報を流す」近年のマスメディアの報道スタイルに対し、時間をかけてでも「正確」で「読者(視聴者)に本当に求められている情報を流す」ことが特徴的だ。スローニュースとも呼ばれている。
フランス国立科学研究センターの専門家らは、スロージャーナリズムの特徴をこう述べる。
- 情報伝達のスピードが遅い(ファクトチェックに時間を費やし、報道までに綿密な編集作業が行われる)
- 深刻な事件に関して、他に出ているニュースの「リサイクル」はせず、自らニュースを作成する
- 報道するニュースの取捨選択を行っている
- 他のニュースに比べて深く質の高い洞察を提供するため、文章は長い傾向にある
- 伝達する情報に透明性がある
- 共感を生み、コミュニティづくりを促進している
- 読者のエンゲージメントが高い(情報を受け取るだけのオーディエンスから、パートナーに)
- 速報では語られなかった「背景」や「舞台裏」に焦点をあて、民主主義的な社会のビジョンを提示している
ちなみに、関連用語としては、問題点だけでなく解決策を一緒に出す報道をソリューションジャーナリズム、問題を掘り下げたうえで「これからどうしていけばいいのか」という建設的な視点を提供する報道をコンストラクティブジャーナリズムという。
なぜ、スロージャーナリズムが必要なのか
インターネットが発達し、情報伝達のスピードは従来に比べて格段に上がった。誰もが発信できるソーシャルメディアによってニュース作成のハードルも責任感も下がり、アクセス数狙いの、センセーショナルな言葉だけを切り取った「釣りタイトル(クリックベイト)」のついた記事も多くみられる。
蓋をあけてみると、ただ単に「いいね」狙いだったり、あまりにも内容が薄っぺらいニュース、他のサイトから文章を張り付けただけのニュース、あるいはフェイクニュースが紛れていたりすることもある。キュレ―ションが粗雑になることは、情報への信頼性を下げることにつながるのだ。

「スロー」で健全なニュースを配信を
注文すればすぐ出てくるが、大した栄養がないファストフードにたとえた「ファストジャーナリズム」と、素材にこだわり、手間暇かけてつくるスローフードにたとえた「スロージャーナリズム」。
スロージャーナリズムは速報性にこだわらず、すでに報道された事件をあらゆる視点からじっくりと考察し、その証拠となりうる情報をまとめたり、事実関係をめぐって議論が巻き起こっている問題の情報の真偽を見極めたりする。今、何がどのように起こっていて、それはなぜなのか、そしてそれが自分たちにどのような意味をもたらすのか。これらのニュースは、咀嚼されていてわかりやすく、頭の栄養になる。
日々、さまざまな情報がめまぐるしく飛び交う現在、私たちはニュースをあまり深掘りすることはなくなってきている。速報はあっても、その続報がないことが多いからだ。速報が必要なときももちろんあるが、その逆があってもいいのではないか。スロージャーナリズムの需要が年々、増してきている。
▶スロージャーナリズムに関するTED Talk
【参照サイト】The slow journalism revolution | Rob Orchard | TEDxMadrid
【参照サイト】What Is ‘Slow Journalism’?










