1年に4回しか発刊されないマガジンが伝える、公平な報道のあり方

Browse By

世界のジャーナリストが集う国境なき記者団が発表した「2019年度 報道の自由度ランキング」によると、日本の順位は180ヵ国中67位。G7各国の中で抜きんでて低く、顕著な問題とされるランク3にあたる。報道の自由度が低い理由の一つとして、アクセスや収益を増やすことを重要視する姿勢が挙げられていた。過激かつ事実を誇張した内容で注目を集める報道は、ときに問題の本質を欠き、世界で起こっている他の重要なニュースを見過ごすことになりかねない。

今回紹介する「ENEMY MAGAZINE(エネミーマガジン)」は権力の濫用に焦点を当て、公平な立場から正確なニュースを配信することをコンセプトとしたアメリカの季刊誌だ。

Enemy magazine

ENEMY MAGAZINEの目的は、権力のあるなしや、マジョリティやマイノリティ、コミュニティの大小に関わらず、一人でも多くの人の声を届けること。この目的を達成するため、1年に4回という発刊回数(初年度は2回)で、丁寧に調査された3つの記事と3つのフォトエッセイが綴られる。量よりも質、アクセス数よりも誠実さを優先する報道姿勢だ。

また、クラウドファンディングで資金を調達することで独立性を保ち、釣りタイトルや誇張、特定の党派を支持することなく、一つのニュースを深堀りした記事を届けるという。

本マガジンの創始者は、ジェイク・ヘラー氏。5年以上アメリカの三大ネットワークであるNBCニュースのレポーターとプロデューサーや、政治や社会情勢のニュースを扱うNewsweek、またThe Daily Beastなど複数のメディアで働いた経験をもつ。トランプ大統領が以前、自身の演説で「Enemy of people」な報道機関がフェイクニュースを流していると述べたことに対し、ジェイク氏は権力濫用のEnemy(敵)となるべく、このマガジンを作り上げた。

創始者のジェイク氏

IDEAS FOR GOODでは、過去にニュースを徹底的に掘り下げ、課題の本質や解決策となりそうなことに焦点を当てた「スロージャーナリズム」を目指すコミュニティTortoiseも紹介している。

ニュースを見ていても、何が正しいのか、何が問題なのか分からなかったり、そもそも議論するには情報が少なく偏っていたりすることはないだろうか?ENEMY MAGAZINEのようなスロージャーナリズムの広がりと社会への反響に期待したい。

【参照サイト】ENEMY Magazine
【参照サイト】国境なき記者団 報道自由度ランキング
【関連記事】世の中の課題を咀嚼するために。スローでオープンなジャーナリズムを追求する編集室「Tortoise」
(画像:Kickstarter より引用)