世の中の課題を咀嚼するために。スローでオープンなジャーナリズムを追求する編集室「Tortoise」

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便利になりすぎた現代に生きる私たちは、絶えず流れてくる情報に圧倒され、時に疲れてしまうことがあるだろう。Webのニュースでは、より多くのアクセスを得て収益をあげるため速報性や話題性を重視しがちだ。その結果、フェイクニュースや正確性に欠けたニュースが世の中に溢れている。もはやニュースは人々に不安と不信感を与えるノイズになってしまうこともある。

今回紹介するジャーナリズムの新たな形を追求したニュースルーム「Tortoise」では、配信スピードはスローだがそのぶん質の良いニュースを出し、読者を巻き込み一緒にニュースについて考える「オープンかつスローなジャーナリズム」をコンセプトにしている。クラウドファンディングサイトでTortoiseの活動に共感し、サポートメンバーになる人を募集している。

Tortoise

Image via Tortoise

Tortoiseでは主に私たちの生活、社会には欠かせない、技術・自然資源・アイデンティティー・金融・寿命という5つのテーマに焦点を当てている。これらのテーマを元にニュース座談会を開いたり、ニュースサイトの運営、季刊誌の発行を行う予定だ。

「the ThinkIn」と呼ばれるニュース座談会はすでに行われており、ロンドンで毎週月曜から木曜の夜に開催されている。これはサポートメンバーに公開され、メンバーなら誰もが参加し意見を交換することができる。(メンバーランクに応じて参加回数に制限あり)このような取り組みを「オープンジャーナリズム」という。近年ではWeb上の記事に対し、読者が直接コメントを残せるようになったりと、読者の経験や専門性を生かすことによってニュース記事の課題や真偽を社会全体で考える動きが注目されている。

ウェブサイトや専用アプリ(2019年1月に公開予定)に1日1回更新されるTortoise Dailyではあえて5つのニュースしか取り上げない。従来のメディアのように記者会見をただ報道したり、他社のニュースの真似をするようなことはしない。Tortoiseはニュースひとつひとつを徹底的に掘り下げ、単に事実を伝えるだけでなく課題の本質を捉えた「スロージャーナリズム」を目指している。

Tortoise

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Tortoiseの共同設立者たちは「すべてが激しいスピードで動く世界でうまく生きる方法を考えるために、我々はスピードを落としてより賢明になる必要がある」と述べた。

クラウドファウンディングでプロジェクトを開始してからわずか4時間で当初の目標金額をクリアしたTortoise。現在すでに2000人以上から資金を集めているが、オープンジャーナリズムは可能な限り多くの異なる声を聴くことが必要なため、次の目標は会員を3000人に増やすことだそう。

オープンかつスローなジャーナリズムを目標に掲げるTortoiseは、同じようなニュースばかりを一分一秒を争って配信する従来のメディアに向けたアンチテーゼとも言える。ネットが発達した現代で、今何が起きているかを知ることは簡単である一方で、事件や課題の表面にしか触れられないことも多い。ニュースの真偽や何故起きたのかという“ニュースの本質”に関して、時間をかけ丁寧に書かれたTortoiseの記事が価値を持つのは間違いないだろう。今後、Tortoiseの取り組みがどのように波及していくのか期待したい。

【参照サイト】Tortoise. Open journalism – a different kind of newsroom.