JOMOとは

常に何かと繋がって情報を摂取しなければいけない、という不安から解放され、目の前の今を楽しみ、心豊かな生活を取り戻そうとすること。「Joy Of Missing Out（取り残されることの喜び）」の略で、「FOMO（fear of missing out：取り残されることへの恐れ）」の反対語。

FOMOからJOMOへ

FOMOという概念は2000年代初頭の頃に生まれ、その後ソーシャルメディアの普及と共に世の中に広がった。しかし、2010年代に入ると、常に何かに追われ、繋がることを手放せない生活に疲れを感じ、解放されたいと願う人々が増え始めた。そうした人々を表現する言葉として登場したのがJOMOだ。

企業家であり、コラムニストなどとしても活動するAnil Dash氏が、自身のブログで発表したことが起源と言われている。さらに、2015年に、自身がFOMOから解放された経験を綴ったChristina Crook氏の『The Joy of Missing Out: Finding Balance in a Wired World』が出版されたことにより、ひとつのムーブメントになった。

彼女が提案するJOMOは、インターネット断食、デジタルマインドフルネスなどと紹介されている。また断捨離で一世を風靡（ふうび）した「こんまりメソッド」になぞらえて、彼女自身も「デジタル界の近藤麻里恵」などとも呼ばれる。

JOMOであるために必要なこと

アメリカの心理学専門のメディアである『Psychology Today』では、デジタルライフや他人と比較することから解放され、自分らしさを取り戻すために必要な要素として下記を挙げている。

時間を意識的に使う

他の人が何をして、何を考えているかを気にして時間を浪費することをやめ、自分にとって大切なことのために時間を使う

今を生きることを自分に許す

嫌なことがあったらリラックスすることを心がけ、嬉しいことがあったら素直に喜び、それを祝う。その時に感じていることを認め、受け入れる

テクノロジーから解放された時間を過ごす

ソーシャルメディアから意識的に距離を置き、費やす時間を少なくすることで、ネガティブな感情から解放される

「No」と言う練習をする

イベントの誘いや電話がかかってきても、自分が楽しめるものでなければ、「No」ということも必要。相手の顔色を窺うのではなく、まず自分自身を大切にするセルフケアを大事にする

ソーシャルメディアの世界ではなく、現実の世界を体験する

ソーシャルメディアのフィードをスクロールする時間を手放す。そこで手にした自由な時間を、家族や友人と過ごしたり、料理やアウトドアに費やしたりと、自分が好きなことに向き合う時間にする

スローダウンする

創造性を高め、生産的なことに時間を費やすため、話す前に考える時間を持ったり待つことを楽しんだりする。静かな環境を受け入れ、スローダウンする

まとめ

時代の変遷とともに、人々の意識も変わっていく。さらに、新型コロナウイルスの流行を経て、人々が自分自身を見つめ直す機会も増えている。Mαssmutual社が2021年7月行った調査によると、アメリカ人の半数以上（51％）が「FOMO」を経験したことがあると答えている。一方で、それを上回る66％の人が「JOMO」を経験していると認めている。

また、Googleも2018年以降、人々をデジタル依存から脱却させるための機能やツールなどを発表し、JOMOへの転換を促している。

現代社会を生きる中で、スマートフォンやインターネットから自身の生活を完全に切り離すのは難しい。それでも、デジタル社会との関係性を見直し、バランスを保ちながら付き合っていくことは不可能ではないはずだ。時にはスマートフォンやパソコンのスイッチをオフにし、目の前にある本当に大切なものと向き合う時間を作ることで、自分自身を取り戻すことも必要かもしれない。

【参照サイト】Anil Dash | JOMO!
【参照サイト】Christina Crook | About — JOMO with Christina Crook
【参照サイト】Psychology Today | JOMO: The Joy of Missing Out
【参照サイト】MassMutual | 2021summerindex.pdf
【参照サイト】Newsweek | Two-Thirds of Americans Say They’re Experiencing ‘Joy of Missing Out’ Despite Reopening
【参照サイト】Google | The search for JOMO: New research on digital wellbeing

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