Amazonが初の「中古品限定ショップ」をロンドンにオープン。実際の店舗の様子は？

2023年12月
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「まあ、もし要らなければ返品すればいいか」

オンラインで何かを購入する際、そんな風に思ったことはないだろうか。Shopifyによる調査によると、オンラインショッピングで購入された商品の2〜3割は返品されているという（※1）。

オンラインショッピングが容易になるにつれて、返品作業も手軽になっている。特にプレゼント用に購入されたおもちゃなどの商品は、輸送中に包装にわずかな傷がついてしまうだけで返品されることがある。この現状は、代金を支払っている立場からすると、当たり前のように思えるかもしれない。

しかしながら、何も異常のない商品が「不良品」として戻ってきた場合、点検修理の工程で多くの無駄を生んでしまう。「新品あるいは完璧な状態の商品でないものでは満足が出来ない」生活者のマインドが、環境負荷を生み出していることは間違いない。

そんな問題に対抗するため立ち上がったのが、大手ECサイト・Amazonだ。同社はイギリスでクリスマスのプレゼント選びが始まる11月の終わり、「返品された商品」を販売する「セカンド・チャンス・ストア」を期間限定でロンドンの街にオープン。今回筆者は、実際にロンドンにある店舗を訪れることにした。

コルクで出来たカラフルなディスプレイに並ぶ、家電やゲームなどの電子製品、本、おもちゃ──25〜50%オフの価格で販売されているこれらは、すべてAmazonで返品された新古（※2）および中古品だ。

※2 一度販売されたが、販売時のまま返品され、販売店で再販される商品のこと

店内には、返品された商品がその後どのような道をたどるのかを説明する映像をはじめ、サステナブルな選択を促すさまざまな情報が紹介されている。Amazonは、このショップを通して、返品された商品の販売を促進、「返品」という行為がもたらす環境負荷に警鐘を鳴らしているのだ。

筆者撮影

陳列された商品は包装や箱がへこんでいる程度で、中身はほぼ新品同様のものばかりだ。商品自体に多少の傷がみられたとしても機能には全く問題がないため、テレビやゲームなど人気商品はすぐ売り切れてしまうという。店内中心部にはゲームを試すことができるエリアが設置されており、店内に並ぶ商品が通常通り機能することを、顧客自身が楽しみながら確認できるような工夫がされている。

筆者撮影

このポップアップストアは、AmazonとBarnardo’s（バルナードズ）というイギリスのチャリティ団体とのコラボレーションのもと行われており、店舗すべての売り上げは、バルナードズへ寄付される。

さらに、店舗の中には修理ステーションも設置されている。Amazonでは2022年にヨーロッパとアメリカ内だけでも700万個の商品の修理を手がけた。ヨーロッパではAmazonに返品された商品の修理点検はGXOサービステックという企業が請け負っており、今回もセカンド・チャンス・ストアに不具合のある商品を持ち込むと、GXOサービステックの技術者が修理や点検、テストなどをその場で行ってくれる。

筆者撮影

不良品としてAmazonに返品された商品は、まずどのような故障があるかチェックを受ける。そして必要に応じて修理され、新品同様となってAmazonの中古オプションもしくはAmazonの「セカンド・チャンス・オンライン」に加えられる。

新古・中古品にセカンドチャンスを与えることは、商品寿命を伸ばすことであり、それにより最大50％のCO2排出削減ができるそうだ。Amazonセカンド・チャンス・ストアでは、返品や交換という行為が生む環境負荷やさまざまな「無駄」について学びながら、私たちの買いものの概念を問うことができた。

店内に入ると、アンバサダーとよばれる店員たちが親切にさまざまな説明をしてくれる。その中のひとり、熱心に話をしてくれたアナさんは「自然も、私たちも、この世界に完璧なものなどないのだから、私たちが買うものや使うものも完璧である必要はない」と話していた。Amazonやバルナードズ、GXOサービステックから集められたスタッフは皆アマゾンのブランドカラーであるオレンジのシャツを来て、ひとつのチームとなって働いているのが印象的だった。

セカンド・チャンス・ストアの棚には「10人に6人のイギリス人は中古のクリスマスプレゼントをもらっても嬉しい」という文字が刻まれていた。今年のクリスマスは、中古品をリクエストしてみるのも良いかもしれない。